二十四本目の火柱 ページ24
やっと私の存在に気づいたおしゃべりロシア人を抑え込む。
気絶させたほうがいいよな……。
｢少々子供をなめすぎたな。これからは侮らないことだ。｣
強めに鳩尾を殴り気絶させる。
そのまま家の中に投げ込みチカパシくん達のほうに向かう。
おしゃべりロシア人を気絶させた直後に銃声がした。
あの猟銃で鍵を壊したか、駆けつけた仲間を撃ったか。
前者であってほしいな。
小屋の方に近づくと見慣れた背中を見つける。
｢…？……杉元さん、か？｣
スチェンカはもう終わったのか？というか他の人は？刺青の男はどうなった？
疑問が尽きないが、犬を取り返した二人を見つけて意識はそちらに向く。
杉元さんと合流すれば安全か。
あれ、なんだ？
黒い塊が走って……！！！！
｢クズリ！！！｣
クズリの存在に気づいた犬は急に方向転換をする。
遠心力でチカパシくんが投げ出されてしまった。
これは不味い。
｢わあッ…あっちいけ！｣
なんとか奮闘してくれている彼の元に駆けつける。
｢オラァッ！｣
クズリの顔面を蹴り飛ばす。
ちらりと後ろのチカパシくんの安否を確認する。
とりあえず怪我はしてないようだ。
｢よし、…ってあれ！？｣
振り返るとクズリはいなく、代わりに杉元さんがいた。
トンカチを振りかざす杉元さんが。
.
｢まじっ、かっ…！｣
間一髪避けて、杉元さんを見ると正気を失っているようだった。
……なんでまたそんなことに…。
両手に凶器を握りしめ力任せに振ってくる。
動きは単純だから避けられるがこの杉元さんをどうやって元に戻す！？
｢おい！杉元さん！どうしたんだ！？｣
｢ふぅ、…ぅおお！！！｣
｢あーーダメだ！！｣
一人で焦っていると肩に手が置かれた。
｢お嬢さん、ここは私にやらせてくれ。｣
｢……誰？｣
そんな私の言葉を無視して杉元さんと向き合う男。
…よく見たら何も着てないじゃないか！？
それと、上半身に掘られた刺青…この男が刺青の男か。
少し遠くに三人の人影が見える。
小さい影が寄って行ったみたいだから多分鯉登さん達だ。
ん？人影？
……あ、あの男、クズリを追い払った時見た男か！
…本当にデカイ図体だな！
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作者名：きょーりん | 作成日時：2019年3月23日 21時
