君と出会ったその時から

お化け屋敷******番外(？)編2 ページ27

「え、ちょ」

私の事は無視してずんずんと進んでいく。

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ」

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ」

もちろん、数分前のリアクションをそっくりそのまま再生しながら。

それでも彼は進むのを止めない。

―その背中を見て「頼れる」なんて考えてしまったのはなぜだろうか？


「あった！」

唯がそう言ったのは、あの日本人形の所まで戻った時だった。

ヘアピンは人形の目の前に落っこちている。

「君香…ちょ、ちょっと待ってろよ…」

そう言ってそろりそろりとヘアピンに右手を近づいていく。

人形を見る事さえ嫌らしく、左手は目にピッタリと当てられている。


2分後。

「はい、これ。」

「ありがと…唯、怖かったでしょ？わざわざ取りに行かなくても良かったのに。」

「いや…だってお前がヘアピン落っことしたの、多分俺が迷惑かけたからで…その、なんつーか…悪りいって思ったから…ホント、ごめんな。」

そう言って控えめに笑う。

何その行動と笑顔…。

反則じゃんか。

「あれ君香、黙り込んじゃって…どした？絶対殴られると思ったのにー」

「え？あ、あぁ」

「あれ、顔赤い？もしかして俺のｋ

ドスッ

「うっ…」

私は唯のお腹目がけて強烈なパンチをお見舞いした。

「んなわけねぇだろ阿呆！」

最後の一言余分！

それがなければ―。

「ほら、美織達待たせてんだから行くよ！」

「え、待ってゴメンって！お願いだから1人にしないでぇぇぇぇ」

赤い顔を見られたくない一心で、出口目指して全力疾走した。

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