No.23 憶測 ページ23
相澤Side
人だかりの中央にいたのは身体から血を流した闇雲。頬は真っ赤に晴れ上がっていて、瞼は切れ血が出ている。びしょびしょに濡れて髪からは水が垂れているので、水にも使ったのだろうか。一体何をしたらこんな怪我するのだろう。
すると闇雲は俺を見た途端顔を明るくして駆け寄って来た。そして笑顔で言う。
A『相澤先生、昨日は急に殴ったまま帰ってしまってすみません。後、今日の弁当持って来たんです。今日ちょっと訳あって雑になっちゃったけど、それでも一応―――』
相澤｢おい！！｣
闇雲の声を遮って怒鳴る。びくりと肩を震わせた闇雲を睨みつけ、そして低い声で言う。
相澤｢お前、今まで何してた｣
A『...ずっと寝てました』
相澤｢じゃあなんでそんな全身びしょ濡れなんだ｣
A『...転んで水溜まりに』
相澤｢昨日も今日も雨は降ってないだろ。それに第一転んだだけでそんなに傷だらけにならない｣
A『登校中にちょっとしたことに巻き込まれてこうなったんですよ。もう良いでしょう？』
呆れ顔で溜息をつきながら職員室を出て行こうとする闇雲の手を掴む。すると闇雲のスマホが明るい通知音を鳴らす。しかも一回では無く連続で何回も。
―――あぁ、そういうこと。
相澤｢良いわけない...！｣
ぐんっと闇雲の手を引きその間にズボンのポケットからスマホを抜き取る。スマホに手を伸ばす闇雲を教師陣に引き渡した後急いでスマホを立ち上げ何件も溜まったラインアプリをタップする。
A『辞めろってば！！』
そう闇雲が叫んだ瞬間バッとスマホが奪われる。闇雲は大きく腕を振りそのままスマホを窓の外に投げ込んだ。スマホは遠くに飛んでやがて見えなくなった。
俺は乾いた笑い声を出す闇雲の胸倉を取る。そして大声で怒鳴った。
相澤｢なんで投げたんだよ！！｣
すると闇雲は晴れ上がった頬を擦りながら笑う。そして笑いながら言った。
A『証拠隠滅ですよ』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 118人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：綾瀬凛利 x他1人 | 作成日時：2020年4月16日 20時
