切られたページは知っている２

16☆見つめる目 ページ8

お姉さんは、昔、ネコに引っかかれた傷が膿んじゃって、

手術もして、今も傷跡があるらしい。




それは、確かに普通じゃ飼う気になったりしないはず。





だから、わたしたちはその家を調べることにした。



わたしたちは、時計を合わせて打ち合わせをする。


もちろん、それらを考えたのは和臣。





まるで何かに取り憑かれたように、

エネルギッシュにあれこれ指導をする和臣。



もうね、今ならどんな困難があっても

乗り越えていけそうなほどに生き生きしてた笑





「まずみんな、自分の家に電話すること。

「今日は友達の家で夕飯を食べることになった」って親に言うんだ。

連絡先を聞かれたら、ここの電話番号を教える。」



金沢、いいよなって、そこで聞いてたけど笑




金沢誠は、快く了承してくれて、4人は自分の家に連絡をする。



貴和とわたしはしなかった。





わたしがしないわけはアーヤも知っていたけれど、

貴和がしないことには疑問に思ったらしくて、

しないの？って聞いてたけど、

貴和はただ一言、「いいんだ。」って答えた。




理由知らないと、心配だよね。



そんなアーヤに気づいて、貴和はちょっと笑ってみせた。







「じゃ手順を発表する。」


和臣は、わたしたちに考えた手順を話してくれた。



金沢誠は、ここに残る。

わたしたちは金沢姉の家まで行って、外で待機。

時間をあらかじめ決めておき、金沢誠がもう一度電話をかける。


そのすきに和臣と貴和、和典が家の中に忍び込む。

和彦とアーヤは、外で見張りと連絡係。

わたしは、一応そこにいるけど、なんかあったらダッシュで中に行く。


金沢誠は、できるだけ長く話して、

さっきみたいに切られたら、またすぐかける。

とにかく、電話に引きつけるのが金沢誠の役目。


そして、家の中を調べて、子どもを確認して、

もしいたら救出する。




これが、今回の手順。






「了解。」


わたしたちは、それを了解し、金沢誠の家の玄関を出た。





門まで歩く途中、庭の端を通っていた時、

和彦が急に足を止めた。



何かを見つけたみたい。


「穴だ……。」



石の塀にあった穴からは、加藤行利の家の

常緑樹の立ち木と、そして赤い小さなブランコが見えた。





金沢誠のお姉さんは、ここから毎日、

加藤家の親子団欒を見ていたのかもしれない。

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