切られたページは知っている２

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なぜ、和臣は上機嫌なんだろう。



そんな疑問を持つわたしたちの前で、和臣は金沢誠に言う。





「よくわかったよ、どうもありがとう！

また聞きたい事があったら連絡するから。

今日はもう大丈夫、帰っていいよ。


あ、安心して。

もちろん、有田先生にはオレがうまくいっとくから。」




じゃね、と金沢誠を送り出すと、和臣はこっちを振り返り

意気揚々とポケットに両手をつっこんで言った。






「さて諸君、やっとハデな活躍の場を諸君に与えられる時が来たぞ。」





…はぁ。



和臣がカッコつけるときは、ろくなことが起こらない。



それは、今まで和臣と付き合ってきてわかったことだ。




アーヤも思わず身構える。



そんなことはつゆ知らず、和臣は続ける。





「犯人は、患者か看護師の中にいるってことだろ。

看護師はいつも同じメンバーだし、

歯科の患者ってのは、何度か通うものだ。


犯人がもう一度、あの金沢歯科の待合室に来る可能性は、大いにある。」




そこで息を吸う和臣。



だから、大げさなんだよ！笑




「よって！

犯人と接触するために、オレたちもここに通おう。


患者になって、もぐりこむんだ。」



あー、ね笑





アーヤがあわてて言う。



「残、念だけど、私は協力できないわ！

だって、歯が健康なんだもの！」





とたんに、我先にと叫ぶ和典と和彦。


「オレも。」


「ボクもっ！」





和臣が悔しそうに腕を組み言う。


「オレもなんだよなあ。

となると、黒木か真実だな！」



キラキラした目でこっちを見るな。



「わたし、昨日行ったばっかでもうないよ。」




じゃ、黒木に頼むしかないな！


和臣がそう言った時、ドアを開けて貴和が姿を見せた。



そして、大人っぽい笑いをにじませた目に、

有無を言わさない力を込めてみんなを見まわす。




こわ。




「それについては、誰が適任か、第三者を立てて、はっきりさせよう。」




「なら、有田先生だね。」



わたしがそう言うと、貴和の後ろから入ってきた有田先生が、優しく言った。




「いいわよ。じゃ、みんな歯を見せて。」






有田先生、すっかりおとなしくなってるんだけど、

貴和はどんな魔法を使ったのだろう。





1番にみてもらって、さらに虫歯がないことがはっきりしているわたしは、

ドキドキもせず、そんなことを考えながら

有田先生が、みんなの口の中を見終わるのを待った。

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