14☆いけにえに敬礼 ページ46
先頭に立っていた和臣が図書室のドアをあけると、
金沢誠はすぐに見つかった。
中には4−5人の生徒がいたけど、
金沢誠以外みんな女子だったから。
金沢誠は、背が高くて色白の、
細長い顔をした眠たそうな一重まぶたの子。
ちょうど、カウンターの上に自分の借りたい本を乗せて、
有田先生がカードに署名を書きとっていた。
わたしの隣で和典がつぶやいた。
「なかなかシャレた手だぜ。」
わたしとは反対側の、和典の隣にいたアーヤはポカンとしている。
貴和もクスッと笑う。
「想像はついてた。どうする?」
「やっぱりここは和臣の出番でしょ。」
わたしは、和臣がカウンターに歩み寄って、
金沢誠の肩に手をかけるのを見ながら言った。
金沢誠はビクッとして振り返り、
持ち上げようとしていた大きな本を素早くかかえこんだ。
瞬間、その本の間から小さな文庫本が一冊すべり落ちて、
床の上で音を立てた。
予想していなかったアーヤと和彦は息をのみ、
金沢誠は落ち着きなくわたしたちの顔色をうかがう。
図書室は、いつも以上にシーンと沈黙が続き、
貴和が女子たちに向かって優しく言った。
「ねえ君たち、悪いんだけど、
これから本棚の整理をしなくちゃいけないから、
また明日来てくれる?」
ほほえみながら言ってたけど、さりげなく女子たちを追い出して、
バタンとドアをしめ、こちらを向く。
怖いよ、貴和笑
「さてと。」
貴和は、ゆっくりとカウンターに歩み寄って、
金沢誠の足元から文庫本を拾い上げる。
そして、金沢誠がしようとしていたことを、
特にわかっていなかったアーヤと和彦に向けて話す。
金沢誠は、大きく息をついて髪をかき上げ言った。
「悪かったよ。」
その言い方は、降参したって感じだったけど、
まあ少しふてくされてるよね笑
「この図書室って一冊だけしか借りられないから物足りないんだ。
けど、きちんと返してるしいいだろ。」
ほら笑
反省はしていないらしい。
確かに一冊って物足りないってわたしも思うからわかる。
「このページを切り取ったのは、君?」
和彦が、この間から持ちまわしてるあの雑誌を出して、
広げながら言った。
あ、ばか。
分解しちゃったから、有田先生の前で出すなって言ったのに。
有田先生の様子をこっそりうかがうと...
「ちょっと......、ひどい!」
ご立腹でした。
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フェアリー - すみません。ページ7の11行目のとこ、「ためすぎだろ」じゃなくて「だめすぎだろ」じゃないですか?間違ってたらすみませんm(_ _)m (2021年12月25日 19時) (レス) @page7 id: ebc545326a (このIDを非表示/違反報告)
星 - よかったです! (2020年1月5日 7時) (レス) id: d5e1d3b75f (このIDを非表示/違反報告)
まーお。(プロフ) - 星さん» ありがとうございます!合ってます!即直してきました! (2020年1月5日 4時) (レス) id: dbfd11264f (このIDを非表示/違反報告)
星 - 私が間違ってたらすみません! (2020年1月4日 19時) (レス) id: d5e1d3b75f (このIDを非表示/違反報告)
星 - こんにちは!えーっと、誤字を見つけました。ページ25の若武君の「上杉は、…」で、『かかわっら』と書いてあるところがあります。『関わった』ではないでしょうか? (2020年1月4日 19時) (レス) id: d5e1d3b75f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まーお。 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/9649c0265d1/
作成日時:2018年5月15日 15時