切られたページは知っている

11☆誘拐は本当か ページ34

出てきた男の人に案内されて、わたしたちは、

家のわきの狭い道を通って裏庭に出た。


途中、あいていた家の窓からせんたく場がみえたんだけど、

せんたくものがわりとたくさん入っていた。




そこをアーヤが見つめていた。


調べに行くのかな？




でも確かに、せんたくものを見れば

１才のこどもがいるのかわかる。



１才なんてすぐ汚すんだもん。



庭に入ると、男の人は、わたしたちを振り返って言った。




「ボクもいっしょに捜そう。」




和臣が一瞬、するどい視線を貴和とわたしに走らせ、

わたしたちはうなずく。



そーゆーことね。





するとアーヤが和臣の言った｛女だから｝を使い、

かわいらしく男の人に笑いかけながら言ったんだ。




「あの......トイレ貸してもらえますか？」


瞬間、和彦と和典が同時に言った。



『ボクも。』






男の人は、迷惑そうに眉根をよせながら答えた。



「ろうかの突き当りだ。」






いや、トイレ組多すぎでしょ。





・






少し探すフリをしていると

何回かトイレを流す音が聞こえてアーヤが出てきた。




「あった？」



そう聞くアーヤはちょっとわざとらしかったけど、

その後の和臣の方がもっとわざとらしかった笑




「ないんだ。おかしいなあ。

たしかこのあたりに入ったと思ったんだけど。」




ちょっとおもしろかったから、わたしはそれに乗った。





「和臣の投げ方的にこっちに入ったと思うよ。」




「え、こっちじゃね？」






そのうち、和典と和彦も家から出てきた。



「あった！」



貴和の声がひびき、木の間でテニスボールを持った手が、

高々と上がった。





それを見た和臣がすぐさま、男の人をふり返り、

勢いよく頭を下げて言った。



「どうも、ありがとうございました！」





わたしたちも、それに続いて言った。


『ありがとうございました！』






みんな手がかりは見つけられたかな？

作者より→←＊

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す