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「で、黒木、どうすんの?」



ため息まじりに聞いた和臣に、貴和は、アゴで

道路のはしにある電柱を指して答えた。




「あれに上れよ。

屋根より上の位置から投げ込めば、確実だ。」



「オッケー。」


和臣は、ハーフパンツのポケットに

ボールをつっこむと、電柱のいちばん下にある

鉄のくいに飛びつき、鉄棒をするときみたいに

懸垂して、その上にのし上がった。




しなやかな体とすらりとした脚を使って、

あっという間にのぼっていく。




和典が、ちょっと息をつきながら言った。



「あいつ、間違いなくサル年だ。」




わたしたちは、クスクス笑ったんだけど、

わたしはふとあることに気づいた。



「和臣がサル年なら......さ?

わたしたちもサル年だよね。」




『......。』



「それとこれは別でしょ。」


『うんうん!』




みんなが慌てる中、和典が言った。



「オレ早生まれだから関係ないわ。」


「あ、上杉ずるい。」





そんな会話がされているとは知らない和臣。





「いっくぜえ!」




いたずらっ子みたいに勢いよく言って、

和臣は、電柱の途中でバランスをとりながら、

加藤家めがけてボールを投げつけた。



白い線を描いて飛ぶボールを追って、わたしたちは、

それが屋根を越えてむこうの木々の中に

飛び込むのを見届けた。




「ナイス、和臣。」




「よし、行こう。」





貴和が道路を横切って塀に近づき、

インターホンを押した。





家の中で、ピンポンと音が響く。

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フェアリー - すみません。ページ7の11行目のとこ、「ためすぎだろ」じゃなくて「だめすぎだろ」じゃないですか?間違ってたらすみませんm(_ _)m (2021年12月25日 19時) (レス) @page7 id: ebc545326a (このIDを非表示/違反報告)
- よかったです! (2020年1月5日 7時) (レス) id: d5e1d3b75f (このIDを非表示/違反報告)
まーお。(プロフ) - 星さん» ありがとうございます!合ってます!即直してきました! (2020年1月5日 4時) (レス) id: dbfd11264f (このIDを非表示/違反報告)
- 私が間違ってたらすみません! (2020年1月4日 19時) (レス) id: d5e1d3b75f (このIDを非表示/違反報告)
- こんにちは!えーっと、誤字を見つけました。ページ25の若武君の「上杉は、…」で、『かかわっら』と書いてあるところがあります。『関わった』ではないでしょうか? (2020年1月4日 19時) (レス) id: d5e1d3b75f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まーお。 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/9649c0265d1/  
作成日時:2018年5月15日 15時

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