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和典は、わずかに笑って家に向かって立ち、
三角定規を顔の前に上げた。
そうして自分の目を斜辺の下に置き、斜辺の延長線上に
屋根を合わせるようにしながら道路のむこう側まで後ずさりしていてって、
ピタリと足を止めたのだった。
「小塚、家の塀から、オレのこの足元までの距離を測ってよ。」
和彦は、またもリュックの中をかきまわして
10メートルの巻き尺を出すと、わたしに端を持たせて、
道路を横断し、和典の足までの長さを測った。
「7メートル31。」
和典は、ニヤッと笑って和臣を見た。
「おまえの負けだ。」
和臣は、くやしそうに舌打ちしたけど、反論はしなかった。
でも、アーヤがキョトンとして言った。
「どこで勝ち負けが決まったの?」
わたしたち5人は、顔を見合わせて、
それから和臣が、心から同情したように言った。
「おまえって......ほんっとに算数苦手なんだな。」
アーヤが口ごもっていると、和臣は、
和典の手から三角定規を取り上げて、アーヤの目の前にかざした。
「あの屋根の上、そこから真下におろした線のオレの目の高さの位置、
オレの目、この3つを結んでできる三角形、それとこの定規とは、
相似なんだ。」
アーヤ......口があいてますぞ。
「だから屋根の高さを知るには______。」
言いながら和臣は、指で空中に絵を描いた。
「地面からオレの目までの距離をYとし、
屋根から地面までの距離からそのYを引いたものをXとして
YとXを足せば、相似関係で屋根の高さが出る。
Xは、家の壁からオレの足の位置までと同じ長さだ。」
あ!という顔になるアーヤ。
「今、塀からオレの足の位置までだけで7メートルを越えてたから、
当然、屋根はそれ以上ってことになるだろ。だからオレの負け。」
アーヤは、納得してうなずいた。
「わかったわ。」
きっとアーヤはこんな風に思ってる。
リサーチの仕事も、なかなか勉強になるわって笑
アーヤは、わたしたちと比べて、知らないこと多いもんね。
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フェアリー - すみません。ページ7の11行目のとこ、「ためすぎだろ」じゃなくて「だめすぎだろ」じゃないですか?間違ってたらすみませんm(_ _)m (2021年12月25日 19時) (レス) @page7 id: ebc545326a (このIDを非表示/違反報告)
星 - よかったです! (2020年1月5日 7時) (レス) id: d5e1d3b75f (このIDを非表示/違反報告)
まーお。(プロフ) - 星さん» ありがとうございます!合ってます!即直してきました! (2020年1月5日 4時) (レス) id: dbfd11264f (このIDを非表示/違反報告)
星 - 私が間違ってたらすみません! (2020年1月4日 19時) (レス) id: d5e1d3b75f (このIDを非表示/違反報告)
星 - こんにちは!えーっと、誤字を見つけました。ページ25の若武君の「上杉は、…」で、『かかわっら』と書いてあるところがあります。『関わった』ではないでしょうか? (2020年1月4日 19時) (レス) id: d5e1d3b75f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まーお。 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/9649c0265d1/
作成日時:2018年5月15日 15時