* ページ25
「だけど、本を持ち出したヤツは、いないんだぜ。」
和臣が言うと、貴和は、ちょっと笑った。
「有田の目をごまかすくらいは、楽勝さ。
やる気になりゃ、若武、おまえにだってできる。」
和臣はムッとしたようだったけれど、貴和は、
それを無視して和典のほうを見た。
「ただ、そいつが誰なのかを特定するのがむずかしいよな。」
和典は、考えこんだ様子で軽くうなずきながら、
視線だけを動かしてカチリと貴和を射止めた。
「いっそ犯人からじゃなくて、加藤家のセンから探ろうか。
加藤行利、もしくは利行って名で、
この街の住民を全部当たってみるんだ。
うまくいけば、加藤家の住所が出てくるぜ。」
貴和は、ちょっと笑った。
「うまくいかなかったら?」
和典も、わずかに笑った。
「膨大なムダ足さ。」
ふたりは見つめ合ったままクスクス笑いだし、
わたしたちは、ついていけずに黙っていた。
和典と貴和の間には、昔からときどき、
ふたりにしかわからない独特のムードが漂う。
まあ、わたしたちにとっては
当たり前のことになってるんだけど、アーヤは、
まだなれないらしくて、こんな雰囲気になると、
必ず顔を赤くする。
かわいいな笑
「じゃ黒木、おまえ、住民に当たって、
加藤行利もしくは利行を捜せよ。
子どものいるヤツに限るぜ。」
和臣が、生き生きとした光をうかべた目で言った。
「上杉は、警察に電話をかけて、
誘拐の届が出てるかどうか、聞いてみろ。
前の事件のときに関わった刑事がいたろ。
あの人にこっそり聞けば、きっと教えてくれるよ。
なにしろオレたちは、あの事件を解決した少年探偵団
なんだからな。誰も認めようとしなかったけどさ。
それから小塚、雑誌からなにかわかったか?」
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フェアリー - すみません。ページ7の11行目のとこ、「ためすぎだろ」じゃなくて「だめすぎだろ」じゃないですか?間違ってたらすみませんm(_ _)m (2021年12月25日 19時) (レス) @page7 id: ebc545326a (このIDを非表示/違反報告)
星 - よかったです! (2020年1月5日 7時) (レス) id: d5e1d3b75f (このIDを非表示/違反報告)
まーお。(プロフ) - 星さん» ありがとうございます!合ってます!即直してきました! (2020年1月5日 4時) (レス) id: dbfd11264f (このIDを非表示/違反報告)
星 - 私が間違ってたらすみません! (2020年1月4日 19時) (レス) id: d5e1d3b75f (このIDを非表示/違反報告)
星 - こんにちは!えーっと、誤字を見つけました。ページ25の若武君の「上杉は、…」で、『かかわっら』と書いてあるところがあります。『関わった』ではないでしょうか? (2020年1月4日 19時) (レス) id: d5e1d3b75f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まーお。 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/9649c0265d1/
作成日時:2018年5月15日 15時