切られたページは知っている

＊ ページ23

もしかして、
借りた人間と犯人は別ってことはない？



和臣が、くやしそうに片目を細めてつぶやいた。


「じゃ、ただのいたずらってことか？」




和典は、慎重に答えた。


「かもしれない。」




アーヤは、がっくりと肩を落とし、

大きなため息をついた。





貴和が、クスッと笑った。



「アーヤ、残念そうだね。

君もでっかい事件を期待してたわけ？」




アーヤは、あわてたようにすばやく首を横に振った。



「そんなんじゃないわ。

もしいたずらだとしたら、

今日、この脅迫状を再現するまでにかかった

わたしの時間は、いったいなんだったのかなって

むなしく思ってただけ。」



すると和臣が、片手で黒板をバンとたたいた。




「そうだ。これを再現させた立花の努力を

ムダにしちゃいけない！

つまり、こうだ。

オレたちは、これから誘拐が本当に行われたか、

脅迫状が本物かどうかを確かめるんだ。

リサーチ事務所の名誉にかけて、

この真実をつきとめよう！


な、そうしようぜ！」





和臣の言葉は、人の心をあおる。


その話は、いつもカッコよくて、

人をその気にさせる。



わたしは小さい頃から、

あんまりならなかったけどね笑



でも他の人、とくにアーヤと和彦は、

もうすっかりその気になっていた。




冷静な和典にしても、

このままほうり出すつもりはなかっただろうし、

大人びた貴和だって同様だと思う。


それに今回はわたしも。

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