夢みたいな現実。5 ページ5
明らかに笑えていない笑顔で、私は言った。
ていうか、夢なのになんでこんな真剣になってんだか…
でもあれか、勘違いしてるようだったら直しといた方がいっか。
「えぇーと…勘違いしているようなので修正しておきますが、私は乗っ取りが目当てではありませんよ?」
私が控えめに言うと、疑わしいとでもいうようにまんばの目付きが変わった。
言わずとも疑われ、言っても疑われる、か。
いいとばっちりだなぁ…
どうせ夢ならこんな悪趣味なものなんかじゃなくて、もっと夢心地のいいものにしてくれたら良かったのに。
「…分かった。でも見習いは期間中離れで過ごすことになってるから、ごめんね。
それと離れには日用品は全て揃ってる。資料室があって、この本丸の出来事が書かれてるから、今日はそこで休んで。
本丸のことは明日話すから。あと、夕食はこんのすけが呼ぶことになってるから安心して。
…今日はもう疲れたって顔してるよ? 離れで休んでおいで」
これは…私の反応を見てるのか?
それとも、夕食になったら呼ぶからそれまでお前は邪魔だから離れ行ってろってことか?
…どっちもかな。
「分かりました。お言葉に甘えてそうさせて貰います。
えっと…ちなみに資料室はどこら辺にあるのでしょうか?」
これが夢にしろ、快適かつ有意義に過ごすためにはこの本丸のことはもっと知っておかないと。
それに、日用品が揃ってるっていってもパソコンはないだろうから、退屈だしね。(要はとうらぶ出来ない)
「え!?……あー、確か裏に入り口があったはず…」
「有り難う御座います。ではこれで」
私はペコリと一度した上で、もう一度まんばの顔を伺った。
その瞳は微少に殺気を含んでいて、もしこの本丸が(ゲームの)私の本丸だったとしたら…
それは、耐えられるものでは無かった。
私はさっと視線を前に戻し、早足で離れへ向かった。
離れの場所なんて知るはずもないが、一目でアソコだろうなと思った。
ひとりポツンと居座る建物。
そこは完璧に孤立していて、“離れ” と呼ぶには丁度良かった。
「あぁー、最悪な夢にならなければなぁ。
願わくば皆と仲良くしたり。……なぁんてね」
その独り言は口に出すととてつもなく悲しくて、言うもんじゃないなと思った。
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なのは(プロフ) - 甘gumさん» こ、こんな不定期なものでも待っていてくださるなんて…感動です!!謎の視線については後々…ということで、また頑張っていきます!ありがとうございます(*^^*) (2019年11月26日 9時) (レス) id: 0e7eece4c9 (このIDを非表示/違反報告)
甘gum(プロフ) - 更新待ってました!ありがとうございます!主人公を見る謎の視線が何なのか気になりますね…更新お疲れ様です! (2019年11月26日 0時) (レス) id: ac11c5bffc (このIDを非表示/違反報告)
なのは(プロフ) - 雪さん» うわぁぁ!!涙が止まらないなんて.......ありがとうございます!!これからも長く続けられるよう、推進して参ります! (2019年7月2日 6時) (レス) id: 0e7eece4c9 (このIDを非表示/違反報告)
雪 - 一気読みさせてもらいました!涙が止まりません(笑)続き楽しみにしてますっ! (2019年7月1日 20時) (レス) id: 83eed38689 (このIDを非表示/違反報告)
なのは(プロフ) - 狐火さん» 遅れてすみません!一目惚れして頂いて感謝です!まだまだ長くなるかも知れませんが、今後ともこの小説をよろしくお願いします! (2019年2月25日 19時) (レス) id: 0e7eece4c9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:緋月なのは | 作成日時:2017年8月15日 15時