夢みたいな現実。36 ページ36
「…なっ、んな…っ!」
口をパクパクさせ、なんとか声を出そうにも何を言ったらいいか分からず断念。
両手で顔を隠そうとしても両の手を今だに掴まれているので不可能。
両サイドに人がいるので顔をどちらに背けてもどちらかに見られるので結局ムリ。
なんだこの状況……。
……やめてッ! その次の言葉を期待するようなキラキラした目で私を見ないでッ!!
「「……」」
うっ……な、何か言わなきゃ…何かを……。
「……こ、怖いんです。
ま、たあの目で見られると思うと、どうしても逃げたくなってしまう…ただ仲良くなりたいだけなのに、足が竦んで何も出来なくなってしまう…私が信じなくては始まらないのに、何もかもを疑ってしまう……」
自分で言っていて矛盾だらけだとは思うが、今の私には彼らの返答にYESもNOも言う勇気はなかった。
自分がどうしたいかもまだ分かっていないのに、軽はずみな答えだけは出したくなかったのかもしれない。
「……はい、分かりました。自分たちが原因を作ってしまったのですから、僕たちはまず、そこを正さなくてはいけません」
ね、と言い私に笑いかける前田はそれは天使さながらであった。
……と、現実逃避するのはここまでにして。
ここが夢でも現実でも、私はいい方向に行くように努力するだけだ。
嫌われ者というレッテルを貼られたまま過ごすなんて、それこそ私には耐えられないことなんだから。
……正直、とても怖いけど、自分が信じなければ始まらない。ここまで言ってくれる人がいるんだ。それで信じなかったら逆に私の器が知れるというもの。
なーんてゴチャゴチャ考えていると、視界の端に真剣な表情でこちらを見ている平野と目が合った。
私と目が合ったと気付くとすかさず王子スマイルを向けてくるところ、やはり兄に一期一振を持つのだなと感じざるを得ない。
__その視線に違和感を持ったことは、あまり気にしないでおこう。
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なのは(プロフ) - 甘gumさん» こ、こんな不定期なものでも待っていてくださるなんて…感動です!!謎の視線については後々…ということで、また頑張っていきます!ありがとうございます(*^^*) (2019年11月26日 9時) (レス) id: 0e7eece4c9 (このIDを非表示/違反報告)
甘gum(プロフ) - 更新待ってました!ありがとうございます!主人公を見る謎の視線が何なのか気になりますね…更新お疲れ様です! (2019年11月26日 0時) (レス) id: ac11c5bffc (このIDを非表示/違反報告)
なのは(プロフ) - 雪さん» うわぁぁ!!涙が止まらないなんて.......ありがとうございます!!これからも長く続けられるよう、推進して参ります! (2019年7月2日 6時) (レス) id: 0e7eece4c9 (このIDを非表示/違反報告)
雪 - 一気読みさせてもらいました!涙が止まりません(笑)続き楽しみにしてますっ! (2019年7月1日 20時) (レス) id: 83eed38689 (このIDを非表示/違反報告)
なのは(プロフ) - 狐火さん» 遅れてすみません!一目惚れして頂いて感謝です!まだまだ長くなるかも知れませんが、今後ともこの小説をよろしくお願いします! (2019年2月25日 19時) (レス) id: 0e7eece4c9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:緋月なのは | 作成日時:2017年8月15日 15時