【原神】無表情の私とホムンクルスの君【アルベド】 (ページ13)

今日:4 hit、昨日:4 hit、合計:19,867 hit

12話ページ13

目を開くと見慣れた天井。
そして、右手には慣れない感触。

すると、右手の違和感の主が声を発する。

アルベド「おはよう。」

『おはよう.....ございます？』

頭がぼーっとしていて、ハッキリしない意識の中、身体を起こす。
そして、右手に目をやると、アルベドさんが私の手をニギニギしている。

.....ニギニギ!?

『えっ』

アルベド「ん？」

.....少しの沈黙のあと、あぁ。と理解したようで、口を開く。

アルベド「よく娯楽小説などでは、怪我や病気で伏せっている大切な人や気になる人の手を、こうして握って見守る描写があるだろう？気になったから、やってみようと思ってね。」

なるほど.....じゃない！

『じゃなくて.....っ！』

そう言って身を捩ると、全身に鈍い痛みが響く。

アルベド「完治してないのに、動くのが良くない。」

そうだ.....私はあの時、アルベドさんに助けられて。
迷惑を沢山の人にかけた。

『す、すみま.....せん。』

アルベド「ボクは、別に謝られたくてキミを助けた訳じゃない。」

その言葉が胸に刺さる。

『じゃ、じゃあ....っなんで助けたんですかっ！
わたし、頼んでない。ずっと過去に囚われてるだけの人生、もう疲れたの！.....もう、終わりにしたかったのに！』

溢れ出た言葉は、止まることを知らず、涙と共に流れ出る。

『誰にも求められず、ただ人を困らせて生きるくらいならっ....！
もう、居ない方がマシ！皆の中で、私がまだ綺麗なうちに、居なくなれば.....』

アルベド「そうすれば、キミは満足するのかい？」

その言葉に我に返る。
私は、助けてくれた人になんてことを.....。

アルベド「嫌われる前に消えたい。ひとつの動機として、いいと思う。けど、ほんとうに"キミ"はそれでいいの？」

『わ、わたし....は....』

アルベド「騎士団としてのキミじゃなく、キミ自身.....A自身はそれでいいのか、そう聞いているんだ。」

私自身。
どうしたいのか、分からなかった。
知るのが怖かった。
知ってしまったら、今までの私を否定してしまう気がしていたから。

アルベド「まぁでも、普段笑いも泣きもしないキミが、そんなに沢山の表情が出来たんだ。今すぐに見つからなくたって、これから少しずつ気付いてあげればいい。キミならきっと、キミだけの生き方を見つけられるから。」