. ページ8
.
黄side
内心はすっごく焦っているけど、夜中だから音は立てないように抑えて探す
「 、さとみくん…! 」
彼を見つけたのはキッチン
電気をつければ、目の前に拡がった光景に言葉を失った
「 …ちょっ、、さとみくん、 」
来ないで。というように後ろに後ずさりしていくさとみくん
彼は果物ナイフを手に持ち手首や太ももに傷をつけていた
床はその赤で汚れている
「 さとみくん。それ、やめよ? 」
「 …や……、ねぇ、僕をコロして、? 」
彼の目からは涙が確かに零れているのに、にやりと口角を上げて。震えた声で確かに言った
「 嫌だ。そんな事しないよ 」
「 ……もぅ、タヒにたいの 」
どこでそんなに言葉を覚えたのか、綺麗な瞳から零れる大粒の涙と共に放った言葉
怖いの?苦しいの?痛いの?
僕にその涙の理由は分からない
「 さとみくん。タヒぬのはだめ。
……生きる理由なんてなんでもいいよ。
美味しいご飯が食べたいとか。ゲームがしたいとか。今の、僕の生きる理由はさとみくんの笑った顔が見たいからだよ 」
1歩、また1歩と彼に近づく
怖がらせないように。たった4歳されど4歳。
僕はこの子が子供だからって、こういう話の時は子供扱いしないって決めている
「 っ、、、いゃぁ゛… 」
「 …痛いことしないよ。痛いのはもう嫌でしょ? 」
「 ………、や。…、けど 」
「 けど? 」
「 …、、、、僕は、悪い子。悪い子は痛くする…ご飯ダメ… 」
彼の言葉に足を止める
あぁこうやって育てられてきたんだ
今までずっと。耐えて、それが当たり前だと思うようにして心を保ってきたんだな
「 そっか。さとみくんは悪い子じゃないよ 」
「 … 」
「 僕はそう思う。たとえ悪い子でも、痛い思いはしなくていい 」
彼の震える手からナイフを受け取って、遠いところに置く
そのまま冷たい赤の着いた手を握って温める
声を上げてワンワン鳴き始めた彼の背中をゆっくりとさする
「 痛いって嫌だって沢山言っていいんだよ。これが食べたいとかこれが欲しいとかわがままも沢山言っていい。
たまに、僕が質問したら「はい」か「いいえ」のどっちかでいいからちゃんと答えて欲しいかな。…できそう? 」
うんと頷いてくれた彼の細い体を壊れないように優しく抱きしめ、一緒に頑張ろうねと小さく呟いた
.
理由−fin.
.
134人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
らふのすけ(プロフ) - たきこみごはんさん» リクエストありがとうございました🙌🏻今後ともよろしくお願いします🕊 (5月2日 19時) (レス) id: 75a74ec2d8 (このIDを非表示/違反報告)
らふのすけ(プロフ) - ぽさん» リクエストありがとうございます( ᵕᴗᵕ )多少お待たせしてしまうかと思いますが、気長にお待ちいただければと思います🙇♀️🙏 (5月2日 19時) (レス) id: 75a74ec2d8 (このIDを非表示/違反報告)
たきこみごはん(プロフ) - リクエストありがとうございます!。最高でした!らふのすけ様のお話大好きです! (4月30日 11時) (レス) @page47 id: 02876b26ba (このIDを非表示/違反報告)
ぽ(プロフ) - いつも小説を楽しく拝見しています!リクエストをさせて頂きたいです、黄くんのだいぶ長引いている夏風邪を全メンバーで看病して頂きたいです!その他細かい設定はお任せさせて頂きたいです。お願いします! (4月29日 23時) (レス) id: 46eeb8c8aa (このIDを非表示/違反報告)
たきこみごはん(プロフ) - アンケートやっておきました (4月16日 7時) (レス) @page35 id: 02876b26ba (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:らふのすけ | 作成日時:2024年3月10日 2時