Symphony12【病系】【短編集】

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黄side








「 さとみくんっ、やめよ。ね、、？ 」


何度も何度も壁に頭を打ち付ける彼を壁から引き剥がす

そんな僕を振り払うように物凄い力で暴れるから、なんとか吹き飛ばされないように




騒ぎを聞きつけた他の職員たちが子供たちを別の場所に連れて行ってくれて、癇癪を起こしているさとみくんを慰めるように僕は彼のそばに居た






「 …ハードって言うのはこのことですか？ 」


疲れ果て眠ってしまったさとみくんの横で先輩に聞く

今のような癇癪や、自傷、オーバードーズなど…自サツ願望とも思えるような行動がこんな小さなさとみくんにはあるらしい




「 虐待にあっていたらしくて、そのまま両親は夜逃げ。ご飯も与えられず、拒食症も少しあるらしい 」

「 ……ひどいですね 」


初めて僕が任せられた子。出来る限りのことはして、心の壁をとっぱらって、抱きしめて愛してあげたい



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「 おはようさとみくん 」


目が覚めたさとみくんはここはどこ？というようにキョロキョロと大きな目を動かす



「 さとみくんの新しいお家だよ 」

「 ……、 」

「 お夕飯出来てるけど食べれる？ 」

「 …………、 」



まだ会話は出来ない。別にここで落ち込む必要は無い。誰もが通る道だから

トレイにご飯を並べてさとみくんの部屋に運ぶ


彼の前に差し出して、しばらく待ってみたけど彼がそれを食べてくれることは無かった










子供たちがみんな寝静まった夜

今日は施設に泊まる予定だったから、シャワーを浴びて仮眠室で休んでいた


さとみくんの様子が気になって、寝る前にもう一度。と彼の部屋を見に行く


「 ……ぇ、 」

もぬけの殻の彼のベッドを見て背筋が凍った








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