寂しがりやの黒猫くん

別行動しない？ ページ8

「ねぇ、僕やりたいゲームあるから別行動して良い?」



紬君が、突然そう言い出した。


教室を出てから、ゲームセンターに着くまで一言も喋らなかった彼…急にそう言われて、私や那月は少し驚く。


瑠可君だけは冷静で、何も言わない那月に代わって、「良いぞ。」と返事を返した。



「…じゃあ、行こうか。」



「え?」



私の方をジッと見て、そう言うと彼はスタスタと歩き出す。


ひょっとして、今の台詞は私に向けられた言葉なのだろうか?…勘違いだったら、相当恥ずかしいけど。



「何ボケーっとしてんだよ、行こうかって言ってんだから、早く来なよ。」



面倒くさそうに顔を歪め、その場に棒立ちだった私に近寄ると、手を掴む。



「ったく…置いてかれたいの?」



「…え、あ、ちょっと…。」



男の子と、初めて手を繋いだ。


私の手よりずっと大きくて、包まれる…力も強くて、可愛らしい容姿をしていても、紬君が『男の子』だと感じてしまう。



「さっきから、ずっとこのゲームみてたけど…欲しいの?ぬいぐるみ。」



手を引かれ、着いた場所は私がさっきみていたウサギのぬいぐるみのクレーンゲームだ。


た、確かに欲しい…けど、恥ずかしいし、ぬいぐるみが欲しいなんて子供っぽいから、素直に言いにくい。

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