寂しがりやの黒猫くん

2人の仲、進展中！1 ページ11

「…あ、ありがとう。」



ウサギのぬいぐるみを、落とさないように抱きしめたまま、私は紬君にお礼を言った。



「僕、お前に何かしたっけ?」



「したよ!…ぬいぐるみ、わざわざ取ってくれたじゃん。」



男の子でも、ぬいぐるみが好きな人はいるけど…彼の場合は、多分私のために取ってくれたの、かな…?


こんなことを考えてしまうなんて、正直自惚れてるかもしれないし…痛々しいかもしれないけど。



「……っ…それは別に、たまたまだから!」



別にお前のためじゃない、そう言えば彼はそっぽを向いてしまう。


『嬉しい』って、気持ちを素直に伝えたかったのに…失敗しちゃったかな?


少し胸が痛くなる、私は俯くとぬいぐるみを強く抱きしめて、胸の痛みをごまかそうとした…けれど、その時。



「取ったのはその…たまたまだけど、気に入ったなら良かったんじゃねぇの?言っとくけど、僕は知らないからな!お前が勝手に、喜んだだけだし…。」



紬君の言葉に、私は俯いていた顔を上げる。


背を向けていたから、紬君が今どんな顔をしているのか分からないけど…先程まで感じていた、胸の痛みが消えていて…私は自然と口元に笑みを浮かべていた。



「それでも、やっぱり嬉しかったよ。…ありがとう。」



「…本当、お前って変人だよな。」

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