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「不知火さんっっ・・・」
私の後ろに隠れる四人。
どうにかしないと……!
「こっちに来ねえってことは捕まる気がねえってことでいいんだな?そのガキの首を持っていったら、雑渡のやつどんな反応すんだろうな〜。楽しみだな〜。」
ニヤニヤと笑みを浮かべるその男は、一瞬にして私の視界から消え、気づいた時には私の隣にいた。
「残念でした。」
おちゃらけたように私の耳元でそう呟いたあと、男は平太君を勢いよく蹴り飛ばした。
「ッぐはぁっ・・・!?」
平太君の体は宙に浮き、傍にあった木に強く打ち付けられた。
「平太っ!!」
「怪士丸君と孫次郎君は忍術学園に戻って、誰でもいいから呼んできて!伏木蔵君は平太君をお願い!」
「「「はいっ!!」」」
「ほぉ〜、女。お前が俺の相手になるというのか?」
私は苦無を取り出し、男に苦無を振りかざす。
しかし所詮は一般人とプロの凄腕忍者。
力の差は歴然だった。
駄目だ。
私じゃ時間稼ぎにすらならない。
でもここで諦めるわけにはいかない。
伏木蔵君と平太君を守らないと……!!
私は男の腹に思い切り蹴り込んだ。
「ッツ!?はっ、やるじゃねえの。」
「はぁっ!!」
私はとにかく攻撃を繰り返した。
だが私の攻撃は全く男に当たらない。
「はぁ〜あ、もう飽きたな・・・」
男はつまらなさそうにそう言うと、私を出し抜き、そのまま伏木蔵君たちの方へ向かって行った。しかもあの男、手に“手甲鉤”をつけていた。確かあれは暗器の一つ。
私は地面を強く蹴り、伏木蔵君たちの方へ走った。もしあんなものが伏木蔵君と平太君に当たりでもしようものなら、怪我どころじゃない。最悪の場合、死に至るだろう。
お願いっ、間に合って…!
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作者名:ずみ | 作成日時:2019年11月2日 17時