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“不知火A”
忍術学園で唯一、女の忍たまで、俺と同じ六年い組だった。成績優秀で難易度の高い任務も楽々とこなす、誰もが憧れる存在。まさに高嶺の花。そんなAを忍術学園の者は皆慕っていた。後輩たちからは憧れの眼差しで見られ、同級の者からは一目を置かれていた。
そんなAに好意を寄せる者は多く、恥ずかしながら俺もその一人だった。
Aに想いを告げる者はごまんといたが、誰一人としてAの特別になれた者はいなかった。
俺はAに自分の想いを告げようと思うことはなかった。自分で言うのもあれだが、忍術学園の中で一番Aと共にいたのは俺だったと思う。だから俺は一緒にいられるだけでいいと思っていた。
だがAは、気づかぬうちにいなくなっていた。
いついなくなったのかもわからなければ、いつAについての記憶だけがなくなったのかも分からない。
「し、おえ、くっ・・・!待っ、てっ・・・もっ、むり・・・!」
「まだだ。」
「んっ、いやっ・・・んぅっ!!」
A、好きだ。
どうしようもないほど好きなんだ。
「A・・・。」
あの日、偶然俺の上に落ちてきたA。
今思えば、俺は最初からこいつがAだと分かっていたのかもしれない。もし落ちてきたのがこいつじゃなければ、俺はあんなにもすんなり忍術学園に連れてこなかっただろう。それにAが俺の上に落ちてきたのも、偶然ではなく必然だったのかしれない。
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作者名:ずみ | 作成日時:2019年11月2日 17時