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忍術学園に着いたのはいいのだが、
まだ男の子が目を覚ましていない。
「三反田君、この子全然目覚まさないけど大丈夫かな?」
「ふふっ、大丈夫ですよ。」
三反田君は可笑しそうにそう答えた。
「乱太郎、起きてますから。」
「えっ?」
私は男の子の方を見た。
するとその男の子とパチっと目があった。
「嘘・・・いつから・・・?」
「貴方が三反田先輩の頭を撫でているとこら辺から・・・」
「それってかなり最初の方じゃない!」
「ご、ごめんなさい!」
「別に怒ってないから謝らないで。だけど起きていたなら、声をかけてくれたら良かったのに。」
私はゆっくりと背中から男の子を降ろした。
「本当にごめんなさい。私は一年は組、“猪名寺乱太郎”といいます。貴方は新しい天女様ですよね?」
「こら、乱太郎。不知火さんは天女なんかじゃないって言ってるだろう?」
「でも、伊作先輩と仲良さげに話してるのを見ました。他の先輩方とだって・・・!また私たちから先輩方を奪う気なんだ!」
「違っ・・・!?」
パンッ !!
私が声を発するのと同時に、三反田君が猪名寺君の頬を思い切り叩いた。私は突然のことでその様子を呆然と眺めることしかできなかった。
「乱太郎、どうしてそんなこと言うんだ!」
「せ、先輩・・・」
「先輩方が不知火さんと仲がいいのは、先輩方が不知火さんのことを認めているからだ。それに君は知らないかもしれないけど、一部の下級生だって不知火さんと仲がいいよ。みんな自分の意思で不知火さんに関わっているんだ。それに比べて君は伊作先輩から逃げてばかりじゃないか!確かに伊作先輩のしたことは最低だ。だけど伊作先輩は君とまた話がしたいから、必死に謝ろうとしてる。そんな伊作先輩の気持ちを無下にしているのは乱太郎、君自身だろ!それを不知火さんのせいにするな!そんなのはお門違いだ!」
あんな穏やかな性格の三反田君が、ここまで怒鳴るなんて……まるで別人のようだ。
猪名寺君はそんな三反田君に、平手打ちされた上に怒鳴られ、泣きじゃくっていた。
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作者名:ずみ | 作成日時:2019年11月2日 17時