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あの後、潮江君や善法寺君たちに質問攻めにあった。もちろん黒木君についての質問だ。彼らには知らない、分からないと言っておいた。だって本当に知らないし、分からないんだもの。
なんとか解放された私は、事務の仕事をするため事務室へと向かっていた。
今日の仕事内容はなんだろう?できればもう当分、草むしりだけはしたくない……。
「失礼します。」
「あぁ、不知火さん。おはようございます。」
「おはようございます。」
「不知火さん、早速で申し訳ないのですが、町へ行って茶菓子を買ってきてもらってもいいですか?」
「茶菓子、ですか?」
「ええ。学園長先生から頼まれましてね。私は仕事がありますし、小松田君に行かせるのは心配なので・・・・・・。」
「私でよければ、行ってきますよ。」
「本当ですか?それは助かる。これがお店の地図です。後はこの巾着の中に銭が入っています。残った銭は好きに使ってくれて構いませんよ。」
吉野さんは私に店の場所が描かれた地図と銭を手渡してくれた。私はそれを受け取った後、すぐに支度をし、忍術学園の門へ行った。門へ行くと、小松田さんが掃き掃除をしていた。私は小松田さんに町に行くことを伝え、出門表にサインをした。
私はここに来てから、初めて忍術学園の外に出た。
正直不安だ。
地図があるとはいえ、町になんて一度も行ったことがないし、忍術学園から町までどれくらい距離があるのかも分からない。ここはやはり歩いてではなく、走って行くべきか……。もし呑気に歩いて行って日が暮れてしまったら大変だ。そう思い、私は走り出した。
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作者名:ずみ | 作成日時:2019年11月2日 17時