検索窓
今日:6 hit、昨日:46 hit、合計:79,324 hit

- ページ25

「え、えっと・・・」

大きな丸々とした目で、私のことをじっと見てくる彼。






“今はただ


思ひ絶えなむ


とばかりを


人づてならで


いふよしもがな”






彼は酷く悲しそうにそう言った。



「何故ですか・・・何故何も言わず行ってしまわれたのですか!あの日、僕はずっと貴方のことを待っていたのに!」

「な、なんのこと?」

「やはり覚えていないのですね・・・・・・。」

私は彼と会ったことがある?
でもここは室町で、私がいたのは平成。
きっと彼は私と誰かを重ねているに違いない。
絶対…そうだよね………。

「僕は一年は組、学級委員長の“黒木庄左ヱ門”です。」

「黒木・・・庄、左ヱ門・・・」



“先輩!”

“先輩?”

“先ぱ〜いっ!”

“先輩、僕・・・”





______貴方のことが“好き”です。





「庄ちゃん。」

「お、思い出されたのですか!?」

「庄ちゃんって呼んでもいいかな?」

「・・・・・・はい。」

黒木君は今にも泣きそうな顔で席に戻っていった。

「お前、庄左ヱ門とどういう関係だ?」

「さぁ・・・」

私は何か大事なことを忘れている。
でもそれはきっと思い出してはいけない記憶。

だから私はまた、知らないふりをする。








━━━━━━━━━━━━━━━





今はただ 思ひ絶えなむ とばかりを
人づてならで いふよしもがな





[訳]貴方のことを諦める、とただ一言。
直接目を見て、伝えたいだけなのに。





左京大夫道雅(63番)『後拾遺集』恋・750





━━━━━━━━━━━━━━━


https://koimemo.com/article/949?page=2

語り/黒木庄左ヱ門→←-



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.6/10 (29 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
47人がお気に入り
設定タグ:忍たま乱太郎 , 天女 , シリアス   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ずみ | 作成日時:2019年11月2日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。