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ホーホー。
梟の鳴き声。
チリリリリリ。
虫の鳴き声。
サァー。
風の音。
ドッ ドッ ドッ 。
心臓の音。
いつもは気にならない小さな音が、夜になるとやけにはっきりと聞こえてくる。
疲れているはずなのに、中々寝付けない私は縁側に座り、月を眺めていた。
ここに来て一週間。
自分でも驚くくらい、この世界に馴染み始めていると思う。まるで最初からこの世界にいたみたいに……。
「不知火、まだ起きていたのか?」
「潮江君こそ。」
そんなことをぼんやり考えていると、寝巻き姿の潮江君が現れた。
そういえば私が使ってる部屋って、六年生が使ってる部屋と近いんだっけ?
「隣、いいか?」
「どうぞ。」
「なんだか久しぶりに不知火と話す気がするな。」
「そう?」
「最近のお前は人気者だからな。」
「人気者って・・・一体どこが・・・」
「お前が気づいていないだけだ。それより、その・・・名前思い出したか?」
「ううん、まだ思い出せてないけど・・・?」
「そうか・・・あの、だな・・・ただの戯言だと思って聞いてくれて構わないんだが・・・その・・・」
「何?」
「お前は本当にこことは違う世界から来たのか?」
「そうだけど?それは潮江君が一番分かってるでしょ?」
「それはそうなんだが・・・俺はお前のことを昔から知っているような気がするのだ。俺もしっかりとは覚えていないんだが、お前に似た女が・・・確か名前は・・・」
____“A”。
「A?」
なんでだろう…その名前、すごくしっくりくる。
「ッツ!!」
「不知火?どうした!?」
「頭が・・・!」
突然、頭が締め付けられるような痛みに襲われた。
何、これ……?
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作者名:ずみ | 作成日時:2019年11月2日 17時