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「・・・不知火は妖術使えないのか?」
「多分?ここに来てから何か特別な力を使えたことはないし、池田君たちと何ら変わりないただの人間だよ。」
「本当にお前、天女じゃないんだな。だったらお前は何をしにここに来たんだ?」
「さぁ、それは私にも分からない。池田君はどうして私がここに来たんだと思う?」
「えっ、それ僕に聞くのかよ。そんなの本人が分からないのに僕が分かるわけないだろ?」
「ふふっ、確かにね。ごめんね、変なこと聞いて。」
「べっ、別に・・・!」
「それじゃあ私はそろそろ不破君たちのところに戻るね。」
「えっ、不破先輩たちと仲良いのか?」
「どうだろう?仲良いのかな?」
「やっぱりお前天女なんじゃ・・・また先輩たちを・・・」
「そんなんじゃないんだけどな・・・だったら池田君も一緒に食べる?」
「それは無理!先輩たち怖いし・・・また酷い目にあわされるかもしれない・・・もうあんな痛い思いしたくないっ!」
「そうだよね。でもさ、池田君がそう思うようにあの三人だって、たくさん悩んでどうしたらまた下級生たちと仲良くできるか考えてると思うの。池田君が上級生を怖いって思う気持ちも分かる。だけど池田君自身も変わっていかなと、上級生たちの思いはずっと一方通行のままだよ?池田君は前みたいに上級生たちとお喋りしたり、一緒にどこか出かけたりしたいとは思わない?上級生がみんな卒業するまで、ずっと今の関係を続けていくの?」
「それは嫌だ!僕、まだ先輩たちに教わりたいことたくさんある。でもやっぱり怖いっ・・・!僕には無理だ。」
「大丈夫だよ。もしまた上級生たちが何かしてくるようなら、私が池田君のことを守るから。こう見えても私、今日の午後に行われた五・六年生の対人戦で、七松君に勝ったんだよ。」
「あ、ありえない・・・」
「いや本当だから!確かに私、女だし、ひょろひょろだし、勝てるようには見えないだろうけど・・・。とにかく池田君も不破君たちのところで一緒に食べようよ。」
「で、でも・・・」
「じゃあさ、本当に無理だってなったら、また私と違う席で一緒に食べよう?」
「・・・そ、それなら・・・いいけど・・・」
なんとか池田君を説得することができた。これを機に少しでも池田君が上級生に慣れてくれるといいんだけど……。
池田君は私の後ろに隠れるようにして着いてきた。
不破君たちは池田君と私の会話が聞こえていたのか、なんだか緊張しているように見えた。
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作者名:ずみ | 作成日時:2019年11月2日 17時