お手としつけとおやつ ページ37
A side
自分に振り当てられた動画の編集をしていると、後ろから肩をポンポンと叩かれる感覚と伊泉、と聞き覚えのある声で呼ばれる。
『河村さん!』
kwmr「伊泉、これあげる」
『ありがとうございます!』
目の前に出されたお菓子の小袋は最近美味しくてハマっているグミ。ありがたく受け取る。毎日一袋食べてしまう程ハマっている。
kwmr「あっ、もう1個あるんだよ」
『え!そんなにいいんですか?』
kwmr「うん、でもちょっと待って。」
そう言うと河村さんはポケットからスマホを取り出した。すると突然ポンッという起動音が聞こえた。目の前にいる河村さんは少しニヤニヤとしている気がした。
kwmr「伊泉くん」
『…なんですか』
kwmr「お手。」
そう言うとスマホを持っていない手で俺の方に手のひらを見せてきた。レンズが俺の方を向いているから動画を撮っているのだろう。この人は俺の事を犬扱いしかしない!
kwmr「ほら、お手」
『はぁ……はい。』
kwmr「おかわり。」
『…はい、』
「待て」
彼は楽しそうに犬がやるような芸を俺に求めてきた。俺は少しの反抗心で少しだけ、少〜しだけ睨んでみた。河村さんも動画を撮っているからノリだとわかってるはず!
kwmr「お〜、こわいこわい」
『…ご褒美ください』
kwmr「はい、じゃあこれ」
『これって、』
手渡されたのはビーフージャーキー。いや、本当に犬だと思ってる。まだ人間用に売っているものだからいいけど、河村さんのことならいつか本物のドッグフードとか買ってきそう。
kwmr「QuizKnockの大型犬くんへのご褒美」
『河村さん…いっつも、言ってますよね!犬じゃないです!!!』
kwmr「こら、威嚇しない!」
『してないです!てかなんで撮ってるんですか!』
kwmr「伊泉、大型犬への道。」
『いや、クイズ王への道みたいになってますけど、俺じゃなくてもいいじゃないですか!』
kwmr「いやぁ、QuizKnockの犬は伊泉か乾しかいない。」
『じゃあ、晃樹でもいいじゃないですか!』
kwmr「大型犬への道だから。乾だったら中型犬ぐらいでしょ」
河村さんはちょっと高めの声で笑いながら俺の目の前から去っていった。
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作者名:重曹 | 作成日時:2021年9月23日 23時