あの陽の差す方へ (ページ23)

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コトノハページ23

【SHO side】

翔「忙しい時期なのに…ありがとう」

2003年1月。大学受験まで残り数週間。そんな時期に、Aが主演ドラマに出演することになった。

1話だけ、と言っても打ち合わせをしたり、台詞を覚えたりするのは結構時間を取るわけで。

仕事とは言えども、Aの負担になっていないか心配だった。

『…急に改まって、どうしたの？』

翔「あと数週間で受験でしょ？負担になってない
　かなって…」

『なんだ、そんな事か(笑)』

翔「そんな事って…」

『私は大丈夫だよ。お話しいただけて嬉しかった
　し。』

翔「………」

『でもね、不安な気持ちもある。』

『もし、落ちたら「今までの時間は何だったん
　だ」って事務所から言われると思うから。』

そう言って、顔を伏せるA。

そんな時にあの言葉を思い出した。

翔「何かをやって時間を損することはない。だか
　ら楽しんできなよ(笑)」

『楽しむ…？』

翔「そう。受かるか、受からないかなんてわから
　ない。だったら笑顔で楽しんだ方が良くな
　い？」

そう言うと、Aは頬を緩め少しおちゃらけた声で言った。

『…そうだね。ついでにお土産も買ってくるよ
(笑)』
　
『八ツ橋とか、阿闍梨餅かなぁ…』

翔「…(笑)楽しみにしてる」

あの言葉で良かったのか、他にかけるべき言葉があったのか。

もしや、言葉はかけるべきではなかったのかもしれない。

でも、笑顔見れたし…。否、やっぱりダメだった…？

自己嫌悪に陥る俺。

そんな俺が、Aの合格通知書をみて喜ぶのはまた後の話。