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朝、目を覚ますと見覚えのない天井と、規則正しい寝息が聞こえてきた。


「ん……」

コロン、と隣の布団で小さく寝返りをうった彼は年相応に見えなくて思わず頬が綻んだ気がした。


窓から漏れる朝日に照らされて彼の白くて美しい肌が映えている。

何となく、彼に触れてみたくなった。



(本当に…綺麗……)

触れると、彼がモゾモゾと動き出した。

薄く瞳を開けて、Aと私の名前を小さく零した。



薄い唇が、寝起きのはずなのに潤っていて女の私でも思わず揺れ動いた。



「ごめん周助、起こした…?」

「ん……うぅん、……少しだけ目は覚めてた…」



思わず出した右腕を引っ込めて、彼の顔色を伺う。


まだ夢の中にいるのか、目が虚ろだ。
それでも蒼色の瞳は美しくて、何故か引き込まれる。









刹那、体が大きく傾いた。



「ちょ、周助!!」

「んぅ…ふふ。寝起きからAがいるなんて、本当に僕は幸せだな…」


半分夢の中なのか、それともしっかり目は冴えているのか。


腕の中にすっぽり収まった私の小ささに驚きながらも、彼の腕の中が心地よくて瞳を閉じてただ彼の体温を感じた。



ゆったりとした朝、いつかこんな生活を送れるようにならばいいのに、とそう思った朝だった。





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「今日で帰るなんて嫌だなぁ…」

「今日は存分に楽しもうね、ほら早く行こう?」


そう言っているものの、名残惜しそうに浴衣を片付ける彼が可笑しくてふふふと笑ってしまった。

すると彼は不思議そうに眉間に皺を寄せて私を見たが、何でもないと首を横に振って彼を見た。


小さなキャリーケースと、キャメル色のコートを手に持って彼の横に並んだ。



「何だか少しだけ寂しいわ。」

「ふふ、そうだね。また来ようね、来年も再来年も、これからも…ね。」



今回は母がくれた機会だけど、これからは私達で来ようと彼は小さなものだが約束をしてくれた。

いや、小さくない。
私にとっては大きな約束だ。


これからも彼の傍にいれる、その口実が出来たのがどうしようもなく嬉しかった。



「A?」



彼に名前を呼ばれて気が付いた。


私は涙を零していた。



「え…あの…」



やはり最近私の涙腺はおかしい。

彼の事になるとどうしようもなく愛しくなって切なくてなって、涙が止まらなくなってしまう。


涙を拭う彼の指が心地よくて、瞳を閉じてまた涙を零した。




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ゆーり - めちゃくちゃ感動しました!あえて主人公に手を出さないところとかがめちゃくちゃ不二っぽくて!ほんとに感動でした! (2021年3月14日 16時) (レス) id: 8ac4695b82 (このIDを非表示/違反報告)
桜田 しおり(プロフ) - 鮎太郎さんさん» そう言って頂けて嬉しい限りです。これからもこの作品をよろしくお願いします! (2018年9月29日 20時) (レス) id: ef32a79d1d (このIDを非表示/違反報告)
鮎太郎さん - ヤバイです!不二先輩かっこよすぎます! (2018年9月27日 22時) (レス) id: 41a4e5daec (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:桜田 しおり | 作成日時:2018年9月14日 7時

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