【ONE PIECE】海軍大将は海の女神も務めます陸【ロシナンテ】

大将白竜と(名前) ページ50

「や…いやだ！！来るな！」

尻もちをついて後ずさりする男の前に、ヒールの音が近づく

「今更何を怖がっている

…同じことをこの島でしたんでしょう、あなたが殺したあの子供の父親は、あなたよりもっと死にたくなかったはずなんだ」
「ひいっ！！」

男の目には

美しく弧を描く唇に血を滴らせ、光のともらない瞳で自分を見下ろし



大量の死体を背に立ちはだかる


女神の姿があった。


ーー

大歓声を浴びる。

彼らは口々に『白竜大将』の美点を讃え、強さを讃え、救われた感謝を叫んだ


しかし彼女の表情は暗く、ただ一直線にある子供の元へ向かった

「(死者は1人、私がこの島に来るまでたった一人で海賊たちを港から街へ行かないように踏ん張った男性だった)」

足を止める。

泣きじゃくるひとりの女の子の姿があった

「…ひぐっ！なんでっ！…っなんで私のお父さんだけ！
なんで！お父さんは助けてくれなかったの！ひどいよ…っ…なにが世界最強なの！！」
「っこら…！おやめなさいっ
すみません、すみません白竜大将…っ」
「おかあさん！なんで！！」




ぎゅっ！！


「っ？！」

周囲が驚愕するなか、白竜は女の子を力強く抱きしめた


「…ごめん、ごめん

ごめん、お父さん、助けられなかった

あんなに立派なお父さんはいない、生きるべきだった

…救うべきだった。


でも…こんな私の願いを聞いてくれ


どうか誇ってほしい。

あなたのお父さんは、この島の英雄だ

たった一人で海賊に立ち向かった、家族と仲間をまもった英雄なんだ。








…謝るしか出来ない私よりも、ずっと、立派な人だから…





お父さんを、どうか誇ってくれ」
「…っ…ぅ…うぅ…わぁぁぁっ！！」




女の子はしばらく泣き続けた。




…白竜は、女の子が泣き止むまで、ずっと抱きしめ続けていた。




ーーーーーーーー

…その夜
海軍本部

「…、あと一瞬、早く着いていれば

もっと早く、飛べていれば…っ」
「A…。来い」


大人しくロシナンテの座るベッドの隣に腰掛け、頭を彼の胸に預けた。

「私はあとどれくらい強くなれば、一人残らず救えるの…？」
「…」
静かにAは泣いていた。

どれほど血に濡れその匂いに慣れても、泣き崩れる人々の姿に慣れることはない。



強さに溢れ眩いばかりに光を放つ『白竜大将』は





…幼馴染であり、最愛の恋人であるこの男の胸の中に戻った時、



たちまちその屈強な鎧は解け


淡い光を宿す、『A』に戻るのである。

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