270話 ページ36
「今日はなんだか予想外の人に出会う日だったわねえ」
「いい意味でも悪い意味でもな。」
そんなふうに会話している私達は、現在海の上だ。
シャッキーさんの店を出たあと、私達は真っ直ぐ海に出て帰路を辿っている
近くにいた海王類の背に乗せて貰っているのだ。
「…なあ、A…」
「…ん?」
水平線をぼーっと見ていたところで、ふいにロシーが口を開いた
「もし俺が、死んだとして」
「?!…ロシー?」
何を、言い出すの?
夕日を受ける彼の顔が儚くて、その声は何か悟ったようで、私はじわっと冷や汗をかいた。
「その時は…」
「やめて!!
…あなたがいなくなった時なんて、考えたくもない…!!」
なにか焦って遮った私を、なおロシーは真剣な目で見つめた。
「A、聞いてくれ。
…俺がお前の隣にいられなくなったその時は
お前が幸せになれる、最も望む道で生きるんだ。」
「…、なにを…」
「他に愛する男ができたなら、俺の事なんて構わずにともに生きていけ
お前の可愛い弟を思うなら、本部なんてほっといて一緒に暮らせばいい
…とにかくAが、望むままの道に…」
まっすぐ見つめてくる彼の目を、私もそらすことなどできない。
とてつもない不安が湧くように押し寄せてくる。
「お願い…やめてよ
ロシーが隣にいない道に幸せなんてあるわけないじゃない。
あなたがもし死んだとして、私が選ぶ道はひとつよ
リラル・D・A・Aは、あなたと共に死ぬの。」
…慰み程度にそうしたとしても、私はあなたと一緒のところになんて行けない
私はその後、海の底で永遠を過ごすことになるのだから。
でも、ロシーのいない人生をのうのうと生きていくよりは…
「…お前は生きるよ。」
「…え?」
ーーなんだか分からないが、そんな気がするんだ。
そう続けたロシーは笑っていた。
「それに!これはもしもの話だ。
俺の心臓がこうして動いている間は、何がなんでもほかの男に譲ったりなんかしねぇし
…俺が、お前を幸せにするんだ。」
不安定なものが去っていく
いつもの雰囲気に戻った。
「…、絶対よ。」
「おう!あたりまえだ」
ー…
『女神様が海底に生まれ変わられたその時は、
私達が傍におりましょうぞ。』
気まずい思いで2人を乗せていた海王類は、そんなことを誓っていたそうな。
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ひはる(プロフ) - みかんちゃんさん» 感想ありがとうございます!!ワクワクしてくださってありがとうございます嬉しいです!今後もなるだけ早くそして楽しんでいただけるよう頑張りますのでよろしくお願いします!! (2019年8月26日 11時) (レス) id: 0be45b8a6a (このIDを非表示/違反報告)
ひはる(プロフ) - guririさん» レス遅くなってすみません!感想すごくすごく嬉しいです!!気まぐれやで掛け持ちも多い亀ですけど、そんな風に言っていただけて嬉しいですし凄いやる気出ました笑ありがとうございます! (2019年8月26日 11時) (レス) id: 0be45b8a6a (このIDを非表示/違反報告)
みかんちゃん(プロフ) - 最初から一気読みしちゃいました!凄く面白くて、読んでいてワクワクしました!続編、お待ちしてます! (2019年8月19日 10時) (レス) id: 5684880501 (このIDを非表示/違反報告)
guriri - 面白いです!続編が待ち遠しいです。 (2019年7月31日 17時) (レス) id: 5d86136675 (このIDを非表示/違反報告)
ひはる(プロフ) - ユッケさん» ありがとうございます!この作品あまりコメント来ないので結構みなさんどう思ってるか不安だったんです。わたしの理想を夢主にになってもらってまして、それを褒めていただけると本当に励みになりますありがとうございます!続編前回よりは早く出せるよう頑張りますね! (2019年7月15日 0時) (レス) id: 0be45b8a6a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひはる x他1人 | 作成日時:2019年6月24日 23時