257話 ページ23
｢いいって言うまで目は絶対開けちゃダメだぞA！｣
｢はいはい｣
いかにもわくわくしているような声色のロシーを一瞬見て、私は目を瞑り帽子を深く被り直した。
｢わ？！｣
するとまたロシーは私を抱き上げ、船室を飛び出す。
｢ここまでありがとうな！！｣
｢いえいえ！初デート、お楽しみください！｣
｢帰りは二人で帰るから、もう自由にしていいぞ！｣
部下の返事を聞くまもなく、ロシーは船を降りたようだった。
｢ロシー、そんな走って急がなくてもいいじゃない？！｣
必死に帽子を押さえながら、揺れの激しさゆえにロシーにしがみつく。
｢俺も楽しみなんだ、お前との初めてがまた増えるんだからな！｣
｢！｣
そうだ、これも、私たちの思い出になるんだわ。
｢…そうね、私もよ！｣
ーーーーーー
賑やかな人々の声が耳に入ってくるようになると、
ロシーは足を止め、私をそっと降ろした。
｢…着いたの？｣
｢ああ！｣
ぎゅっと閉じていた目をゆっくり開く
目の前の光景に、私は目を輝かせたことだろう。
｢！！！
ここは…｣
シャボンディ諸島…
｢シャボンディパーク！！｣
見ても楽しい色鮮やかな遊園地の光景に、私は珍しく大声を上げた
｢驚いたか？！｣
｢うん…！｣
…ここに来たのは初めてではない。
しかしそれは決してこの遊園地で遊ぶためではなく、いずれも任務として訪れただけだった。
｢…｣
ーーーーー
『お母さん！観覧車乗りたい！』
『はいはい、ほらお父さん早く、行きますよ』
『よし！おいで、肩車して行ってやろう！』
『…』
『リラルド少佐！目標は29番グローブに逃げ込みました！』
『…！
ならあなた達は左からまわりこみなさい
はさみ撃ちで首をとります！！』
『……お母さん、あの子、なんで遊園地に来てるのに遊ばないの？』
『…この子とそう変わらない歳なのに…可哀想に。』
ーーーーーー
…昔は、すでに仕事一筋だったあの頃にもらう『可哀想』も、
『海賊の娘であるためにもらう言葉』と同じくらい腹立たしく感じるものだった。
けど今思えば、目の前のいかにも楽しそうな光景に憧れを感じていたのも認めざるを得ないな。
｢…ふふ｣
｢初めてだろ？遊ぶのは｣
｢ええ、
ロシーとの初デートがここで、嬉しいわ！｣
ロシーも心底嬉しそうに笑い、私の手を引っ張って行った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 75人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ひはる(プロフ) - みかんちゃんさん» 感想ありがとうございます！！ワクワクしてくださってありがとうございます嬉しいです！今後もなるだけ早くそして楽しんでいただけるよう頑張りますのでよろしくお願いします！！ (2019年8月26日 11時) (
レス) id: 0be45b8a6a (このIDを非表示/違反報告)
ひはる(プロフ) - guririさん» レス遅くなってすみません！感想すごくすごく嬉しいです！！気まぐれやで掛け持ちも多い亀ですけど、そんな風に言っていただけて嬉しいですし凄いやる気出ました笑ありがとうございます！ (2019年8月26日 11時) (レス) id: 0be45b8a6a (このIDを非表示/違反報告)
みかんちゃん(プロフ) - 最初から一気読みしちゃいました！凄く面白くて、読んでいてワクワクしました！続編、お待ちしてます！ (2019年8月19日 10時) (レス) id: 5684880501 (このIDを非表示/違反報告)
guriri - 面白いです！続編が待ち遠しいです。 (2019年7月31日 17時) (レス) id: 5d86136675 (このIDを非表示/違反報告)
ひはる(プロフ) - ユッケさん» ありがとうございます！この作品あまりコメント来ないので結構みなさんどう思ってるか不安だったんです。わたしの理想を夢主にになってもらってまして、それを褒めていただけると本当に励みになりますありがとうございます！続編前回よりは早く出せるよう頑張りますね！ (2019年7月15日 0時) (レス) id: 0be45b8a6a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ひはる x他1人 | 作成日時：2019年6月24日 23時
