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先生「桜田、今日病院寄ってやってくんないか?」
「先生。僕はどうして行かなくちゃいけないんですか?受験生ですよ?」
先生「まあまあまあまあ。言ってやれ。じゃ、会議あるから。」
逃げるように去っていく。先生もあいつの言いなりか。
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『お!よく来た!入りたまえ!あ、消毒しろ!』
今日はショートか。
病室の前に置いてあった消毒液味手にかけて馴染ませる。
『これみて欲しくてさ!!ほら!!』
指さす方向にはマリーゴールドが花瓶に入れてあった。
「マリーゴールド?ワンテンポ時代に乗り遅れてない?」
『別になってるわけじゃねぇし。自分みたいな花じゃないか!』
「乗りまくってんじゃん。」
こんなことで呼び出されたのか。可哀想だな、僕。
いや、やつも可哀想だけど……
「そうだ、ついでにこれも持ってきたよ。はい。美術好きらしいね?」
先生から頼まれたスケッチブック。
失礼に中身も見させてもらった。
「随分と絵が上手いね。美術部だったの?」
『いや、剣道部。』
「宝の持ち腐れだね。」
恥ずかしそうに体をくねくねし始めるやつを見て少し引く。
僕はどうしてこんな奴と時間を過ごさなければならないのだろうか。
睨みつけるようにやつを見ると
奴は外を見ていた。
どこか遠居所を眺めるように。
その横顔は悔しいけど「綺麗」と思う。
奴は美形なんだ。
『明日も晴れるといいね。』
「そうだね。」
僕は知りもしなかった。
奴の口癖となるこの言葉の意味を。
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作者名:ひかり | 作成日時:2020年12月6日 0時