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「どういうこと?延命治療...って...」

『うーん、君にはまだ話してなかったな。』

やつは悲しそうな笑顔で話してくれた。


『さすがにそろそろ体がきついんだ。悲鳴上げてるよ。』

腕で筋肉を見せるような素振りをした。

前ほどしっかりしていない。

痙攣のように震えていた。

あぁ、本当に死ぬんだ。

そう思った瞬間、涙がつたった。

『あらあらあらあらあら?そんな泣かないでよ!自分が泣かせたみたいじゃん!』

君が泣かせてるんだよ。

『良かったよ。』

「え?」

僕は鼻を啜った。

『自分が死ぬ時に泣いてくれる人がいてくれて。』

「...いつ?」

『お?』

「いつ辞めるの?延命治療。」

『うーん、年明けてからかな。やめてから1日くらいしか持たないかも。』

今つけてる点滴が、マスクが、やつの命綱なんだ。

『でもさ、』

『最後にたくさん笑うことが出来て嬉しかった。』

僕の涙は止まらなかった。

『大丈夫、きっと空は晴れるよ。』

「意味わかんないよ...それ。」

『まあまあ!ほら!看護師さんたちにケーキ渡してこいよ!』

バシバシと僕の背中を叩いて押し出した。

「痛いよ。」


僕はケーキを持って渋々と歩き出し、外へ出た。







「あの、これ。あいつに渡したんですが...」

看護師さんは全てを悟ったように受け取ってくれた。

看護師「聞いたの?」

「はい。」

看護師「そう。」


ケーキを渡してあいつの部屋に戻った。


扉に手をかけた時、一瞬躊躇った。

今ここで帰れば、やつが死んだ時...ほんの少しだけ悲しまなくていいのかもしれない。

このに入れば、またやつが恋しくなるかもしれない。

ギュッ

ピーーーーー!!!!!

「え...」

中から聞こえた警報のような音。

僕には命がとだえる音に聞こえた。

ガラッ


「あっ...あ...」

ベットに寝ているやつは...いや、光は


大量の血を吐いて倒れていた。




「嫌だ...嫌だ...光!!!」


僕は駆け寄った。


『あ...翔平...』

光が僕の名前を呼んだのはいつぶりだろうか。

いや、呼ばれたことなどあっただろうか。


『もうちょっと頑張ろうと...思ったけどさて...無理だった...』

光の手は冷たかった。

涙で前が上手く見えない。


『そんな泣くなよ...逝きにくいじゃん。』

苦しそうに笑った。

「行かないでよ...」

お願いします神様。

光を連れていかないで。最初で最後のわがままです。



光は泣いた。



『ごめんね...』


ピーーーーー...

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設定タグ:病気 , 感動 , 友情   
作品ジャンル:泣ける話, オリジナル作品
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作者名:ひかり | 作成日時:2020年12月6日 0時

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