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なんだ。女子か。



声は中性的で分かりづらいけど見た目は女子だ。



疑わしいといえば…胸……これ以上は考えないようにしとこう。




『君!もしかして学級委員長!?』


「うん。初めまして。」


『わぁ!よく来てくれたね!さぁ!入りたまえ!!』


異様に元気だ。

ほんとに病人か?


中のソファに座らされて丁寧にお茶も出してくれた。



病室は彼女のものであろう物が沢山あった。



『君、名前はなんて言うの?』


「僕は、桜田 翔平(さくらだ しょうへい)。君は小峰 光(ひかり)さんだよね?」

ブフォ!!

え、何。


彼女は飲みかけていたお茶を吹き出しそうになる。


『待って待って。自分の名前ひかるだよ?漢字も読めないのー?』

ニマニマと煽ってくる彼女に少し腹を立てる。


「女子だから光かと思ったんだよ。」



『自分がいつ女子って言った?』



こいつはさっきから何を言っているんだろう。

言動が少し騒がしいぞ。


知っているさ。ニットを被ってる時点で。それはカツラでしょ?


僕はあえて触れないようにしてるから。



そんな僕の気持ちを裏切るように

彼女は髪の毛をむしり取るように取った。


案の定禿げていた。




そして裏の棚から短いカツラを取り出してかぶった。


そしてニッコリしながらこちらを振り向く。


『これみても女子?』


中性的なのは声だけじゃなかったらしい。



顔も髪の毛が短くなれば男子だ。


胸がないからワンチャンほんとに男か?



「どっちなんだよ。」


『はっきりさせる必要なんてないじゃん。自分は日によって気分転換しますよーだ!』

そうだ、第一人称も「自分」だ。

全く、ややこしい人だ。



ハッキリしないのが僕は1番苦手だ。




「それで、どうして学級委員長を呼んだの?君は院内学級って聞いたよ?」



『2年生の末まで学校いたから急に院内学級は寂しいじゃん?』


いや、知らないよ。



病気があるから院内学級。しょうがないじゃないか。


『もう死んじゃうからさ。』


呆れていた僕の耳は少し遠のいた。



奴の顔は至って笑顔だった。


聞き間違い?いや、はっきりと。


『急性骨髄性白血病。もう治らないんだって。』


白血病。聞いたことある。


でも死んでしまう人なんてほんの数パーセント。子供はもっと低いって聞いたことある。

『余命は来年の3月。たった1年の命、ほかより少し特別感があるよね。』


笑う彼女を見て笑うことが出来なかった。

・→←1章 「君」



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設定タグ:病気 , 感動 , 友情   
作品ジャンル:泣ける話, オリジナル作品
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作者名:ひかり | 作成日時:2020年12月6日 0時

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