Detour.[gtmn] ページ35
「ガッチさん、じゃんけんに勝ったのになんで来てくれたの？｣
「ん？女の子1人にしたら危ないでしょ？｣
「コンビニ近いのに？｣
「いいからいいから」
ガッチさんは昔から底抜けに優しかった。
徒歩5分で着くようなコンビニにも危ないからと着いてきてくれる。
でも私が特別だからとかじゃなくて、彼はこれが普通だった。
いくらアピールしてもその鈍感さには通用しないし、どれだけ恋愛に持っていこうとしても空回りばかりしていた。
「A、これ半分こ」
「わ、ありがとう｣
少し鼻先を赤くしたガッチさんが肉まんを半分に割った。不器用だから均等に割れていないが、迷わず大きい方を私にくれた。
「いいの？｣
「なにが？」
「…はは、何も。いただきます」
何回も諦めようと努力した。
距離を置いてみたり、できるだけ目で追わないようにてみたり。
でも彼の優しさに触れるたび「もしかしたら｣と期待してしまう自分がいる。
「よし、じゃあ帰るか｣
「うん」
もう少し、ガッチさんと2人で居たかった。
そんな願いも虚しく、ここの角を右に曲がればもう家が見えるところまで来てしまった。
はぁ、とため息をついて家に向かっていくと隣にいたはずのガッチさんがいない。振り返ると右に曲がる角を何故か左へ行こうとしているガッチさん。
「ガッチさーん、そっちじゃないよー｣
「知ってるよー｣
来て来てー、と私に手招きをして家の真反対の道をスタスタと歩いていくガッチさんを疑問に思いながら追いかけた。
どうしたの？と聞くと寒いのが苦手な彼がいきなり自分のマフラーを外して私にグルグルと巻いた。
「え？なになに？ガッチさん、ほんとにどうしたの？｣
「いやー、最近Aと全然話せてないからちょっと寂しくて。せっかくAと2人きりになれたんだからさ｣
彼の香りに包まれて、ただでさえ忙しい私の心臓がドクンドクン、と音を立てて跳ねる。
「遠回り、して帰らない？｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 292人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
シノノメ。(プロフ) - ななちきさん» 読んでくださった皆様に感謝です(т т)だいぶ痛みも少なくなってきました！複雑骨折ではないのであと数週間で治ってくると思います(˶ᐢᗜᐢ˶)心配してくれてありがとうございます、とても励みになります⸝⸝> <⸝⸝ (2022年12月18日 0時) (
レス) id: d09763f888 (このIDを非表示/違反報告)
ななちき(プロフ) - 評価１００個おめでとうございます！！怪我の具合はどんな感じでしょうか…早く完治することを願ってます！頑張ってください！♡ (2022年12月17日 20時) (レス) id: f88a542426 (このIDを非表示/違反報告)
シノノメ。(プロフ) - はなさん» ありがとうございます頑張って治します( ߹ ߹ ) (2022年11月21日 19時) (レス) id: d09763f888 (このIDを非表示/違反報告)
シノノメ。(プロフ) - ななちきさん» 初めまして！見つけて下さりありがとうございます！どんな話も神作と言われるように頑張っていきますのでよろしくお願いします！ (2022年11月21日 19時) (レス) id: d09763f888 (このIDを非表示/違反報告)
シノノメ。(プロフ) - ゆたんぽさん» 優しいコメントありがとうございます…初めての骨折だったのでこんなに痛いのかとビックリしました…更新された時はまたよろしくお願いします！ (2022年11月21日 19時) (レス) id: d09763f888 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：シノノメ。 | 作成日時：2022年9月1日 4時
