〖TOP4〗Fondness.〖短編集〗

Secret.[rtrt] ページ3

「レトルト、ぎゅーして」

「えっ」



普段、中々甘えてこないAが急に甘えてきた。
しかもこんな夜中に。
1度ゲーム中だった手を止め、言われた通りAを引き寄せて抱きしめると満足そうに息を漏らした。



「んー、レトルト…｣



寝ぼけているのか、ふにゃふにゃ話すA。
目もとろんとしていて今にも眠りにつきそう。
抱きしめるのをやめると顔を顰めて必死に俺の首に手を回すその姿に俺はもうメロメロだった。



「かわぃぃ…」



Aってもっとこう、ツンツンした感じなのに。
眠いとこうなるんだ、いいこと知っちゃったな。
Aをベッドに運び、ふわふわの髪の毛を優しく撫でる。




「んふふ、俺のこと好き？」

「好き、大好き｣

「だっ、だい…えへへぇ｣



ダメだダメだ、テンション上がってる場合じゃない。
A寝かさないと。
あ、でもゲームセーブしなきゃな。
キヨくんに記録抜かされちゃう。



「ちょっとまっててね、消してくるからね｣

「だめ」



クイッと袖を引っ張られ、うるうるとした目で行かないでと訴えられる。
寝てても起きてても、ワガママな所は変わんないみたい。こんな可愛い顔されたら断ろうにも断れないよ。



「いて欲しい？｣

「そばにいて…｣

「くぅ！普段絶対言わないセリフ！」




俺が悶えていると、ちゅ、と頬に柔らかい唇が触れた。
暴れ回りたい衝動をカニのぬいぐるみを抱きしめて瞬時に消化する。キュン死するかと思った。
明日になったら顔が近いとかあんま見つめないでとか言うくせに。



「ふふ、それも楽しみだけど｣



俺の腕に巻きついて幸せそうに寝るA。
今日の事は俺の為にもAのためにも秘密にしておこう。
あー早く明日が来ないかな。
ワクワクしながらそっとAにキスをした。


「おやすみA、大好き｣

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