Valentine.[rtrt] ページ19
今日は恋する乙女たちの大事なイベント、バレンタインデー。教室だけじゃなく廊下もチョコの甘い香りが充満して、男子たちがずっとソワソワとしている。
私はバレンタインが苦手だった。
昔、片想いの幼なじみにチョコを渡したところ大嫌いという意味のマシュマロが返ってきたから。
彼に悪気はないのは分かっていたが、当時のショックは大きく高校生になった今でもちょっと引きずっている。
それ以来、彼には何も渡せていない。
屋上で、彼のために作ったチョコを自分で食べるという虚しいバレンタインデーを過ごしていた。
「やっと見つけた｣
珍しく屋上に人が来たと思えば、まさかの私にマシュマロを渡した超本人、レトルトだった。
何をしに来たのか、こんなバレンタインの日に。
モテるんだから教室にいてあげればいいのに。
手には今日貰ったんであろう小さな紙袋がひとつ。
それを見て心がちくりと痛む。
「Aはそれ渡さないの？｣
「うん、今から食べるの｣
振られるのが怖いなら義理チョコとして渡せばいい、そう考えたこともあった。だがそれで渡せた試しはない。心のどこかで、いつか伝えられると諦めがついていないのだろう。
「ふーん…なら俺にちょーだいよ」
レトルトはこれあげるから、と手に持った紙袋を私に無理やり押し付けてくる。
人からもらったものを…とドン引きした顔で見つめていると伝わってしまったのかコツンと頭を叩いた。
「ばか、それはAに買ってきたの｣
「え？な、なんで？」
その紙袋が逆チョコだなんて想像もしてなかった。
しかも私に？
驚きを隠せない私はなんでなんでと問い詰めると彼はだんだんと顔を赤くして
「Aならその中身の意味わかるんでしょ！｣
と、言って屋上から出ていってしまった。
「中身…？｣
急いで袋の中を確認した。
入っていたのは小さなメモと5色のマカロン。
メモにはマシュマロの意味、知らなくてごめんとだけ書かれている。
「…義理って言わなくてよかった｣
全てを理解した私は急いで彼の背中を追いかけた。
「レトルト！」
振り向いたレトルトを勢いよく抱きしめると耐えに耐えていた恋心が一気に溶けていく。
「レトルト、あのね｣
やっと、あなたに私の想いを渡せる。
Valentine.[gtmn]→←Valentine.[ky]
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シノノメ。(プロフ) - ななちきさん» 読んでくださった皆様に感謝です(т т)だいぶ痛みも少なくなってきました！複雑骨折ではないのであと数週間で治ってくると思います(˶ᐢᗜᐢ˶)心配してくれてありがとうございます、とても励みになります⸝⸝> <⸝⸝ (2022年12月18日 0時) (
レス) id: d09763f888 (このIDを非表示/違反報告)
ななちき(プロフ) - 評価１００個おめでとうございます！！怪我の具合はどんな感じでしょうか…早く完治することを願ってます！頑張ってください！♡ (2022年12月17日 20時) (レス) id: f88a542426 (このIDを非表示/違反報告)
シノノメ。(プロフ) - はなさん» ありがとうございます頑張って治します( ߹ ߹ ) (2022年11月21日 19時) (レス) id: d09763f888 (このIDを非表示/違反報告)
シノノメ。(プロフ) - ななちきさん» 初めまして！見つけて下さりありがとうございます！どんな話も神作と言われるように頑張っていきますのでよろしくお願いします！ (2022年11月21日 19時) (レス) id: d09763f888 (このIDを非表示/違反報告)
シノノメ。(プロフ) - ゆたんぽさん» 優しいコメントありがとうございます…初めての骨折だったのでこんなに痛いのかとビックリしました…更新された時はまたよろしくお願いします！ (2022年11月21日 19時) (レス) id: d09763f888 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：シノノメ。 | 作成日時：2022年9月1日 4時
