私と〇〇できないくせに！【伊黒小芭内】 (ページ10)

今日:34 hit、昨日:11 hit、合計:237,041 hit

10 ページ10

・

「まだ残るのか」

「あー、うん。長文のプリント作りたくて」

英文を打ち込むのも面倒だけど、それ以上にグラフとか入れるのがめっぽうだめ。

「プリントワンセットごときに何をそんなに手間取ることがある。もうすぐ８時だぞ」

「いや、ちがうの。グラフが上手く入れられなくて……」

「見せてみろ」

小芭内は立ち上がると私のデスクの後ろに来て、私からマウスを取り上げた。

そして手際よく手元のメモを見ながら円グラフやら棒グラフを入れてくれる。

「お前は本当に要領が悪いな。教師をやっていれば多少改善されるものかと期待したが、そうでも無かったようだ」

「うっさいな！！小芭内がかしこすぎるのよ！」

「耳元で大きな声を出すな。不器用なりによく頑張っていると言っているだろう」

「そんなこと言われてない！」

一瞬手を止めて、顎を掴まれて小芭内の方に向けられる。

綺麗なオッドアイと目が合った。

ドキッ

え？どきっ？

「じゃあ今言う。頑張っていてえらい。それだけだ」

えらい……？

偉いってなんだっけ。
えら……えらい！？！？

ということは今、私って小芭内に褒められたってことでいい？

「えっえっ、やばい！信じらんない！小芭内に褒められたの何年ぶり！？」

「どうしてお前はこうも単純なんだ。貴様の仕事を早く終わらせるために言ったまでだ。深い意味は無い」

「やだ～私の扱い方分かってる～」

腕で小突くと、小芭内はため息をつきながら呆れた顔をする。

「ほら、早く帰るぞ」

「えっ……もしかして私の事待っててくれたの！？」

「いや、そういうわけではなく」

いや、そういうわけなのか？とか1人でブツブツ言ってる。

「先日も今日も、少し言いすぎた気がする。すまなかった」

首元に手を当てながら、斜め下を向いている小芭内。

うそ、小芭内が私に謝ってる……？

「明日雪降るのかな」

「どうして貴様はいつも一言多いんだ」

こっちのセリフよ。

なんで私、今まで小芭内のこと好きだって気づかなかったんだろう。

「ねぇぜんいつー、どうしたら付き合えると思う？」

「原点に帰って乳当ててみるとか？」

「あんたの中の原点どこよ」

・