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朝、私は洗面所の前でコンシーラーを片手に戦っていた。首元の赤にちょんちょんと肌色を乗せていく。


「今日は随分と化粧に時間がかかるのだな」

「誰のせいだと思ってんの!?」


ぶん、と振り返った私の頬に小芭内の手が添えられる。

目が合った。
くっそ、今日もかっこいいな。悔しいけど。

顎をちょんと持ち上げられてド○○キしながら目を瞑ると、唇にちゅ、とひとつキスを落とされる。

何度繰り返しても緊張して肩が上がる私を見て、小芭内は笑った。


「もう、急にやめてよ」

「?口紅だけ塗っていないから、して欲しかったのかと」


たしかに、もしかしたらされるかもと思って塗ってなかったけど。
そういう所に気づくのもなんかむかつく。


「っふ、満更でもないと顔に書いてあるぞ」

「うるさい!」


いや満更でもないけども!
勝ち誇ったような笑みを浮かべられると、むっとならざるを得ない。

でもかっこいいから許した。




「ねぇねぇ、ネックレスつけるから留めて?」


半年ほど前に小芭内からもらったあのネックレス。
持っているとなんだかずっと彼と一緒にいるような気がして、肌身離さず持ち歩いている。

それを小芭内に渡して後ろを向くと、「なんだか夫婦みたいだな」なんて言ってくるものだから、顔がじんわりと熱くなるのを感じた。


「そんなこと言って、私と結婚なんかできないくせに」


照れ隠しのようにぼそぼそと呟くと、「どうしてそう思った」と不思議そうに聞いてくる。


「だって私、料理あんまできないし、朝弱いし、うるさいし、重いし、それに…」


小芭内と毎日一緒なんて心臓が持たないし。

そう続けようとした時、目の前にすっと小芭内の綺麗な手が回った。指先になにか持っている。


「A」

「……なに?」


ネックレスの金具はもうとっくに留められていた。
その鎖には、天然石の他にひとつのリングがぶら下がっている。


「へ?どうしたのおばな……」


なに、このリング。
不思議に思っていると、ぎゅう、と後ろから抱きしめられて、私の心臓が跳ねた。






「結婚しよう、A」




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和加 - 声出して笑ってしまうんですが。面白すぎです笑 (2021年2月3日 6時) (レス) id: 263e001d98 (このIDを非表示/違反報告)
いちごミルク(プロフ) - 完結お疲れ様です。面白かったです!! (2020年12月25日 15時) (レス) id: 00ab994726 (このIDを非表示/違反報告)
モブちゃん - キャァァァァァァ!キュンキュンするわ!伊黒さん、お幸せに! (2020年12月25日 7時) (レス) id: 2f84cbf165 (このIDを非表示/違反報告)
みゆきだいふく(プロフ) - 深紅さん» すみません爆笑しましたwwwwwww (2020年12月23日 21時) (レス) id: a48323ed49 (このIDを非表示/違反報告)
深紅(プロフ) - 私の中でLove so sweetが流れた (2020年12月23日 20時) (レス) id: 1de38023e0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みゆきだいふく | 作成日時:2020年12月2日 1時

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