私と〇〇できないくせに！【伊黒小芭内】 (ページ43)

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小芭内は目の前でネクタイをしゅるしゅると解いて第二ボタンまでを外した。
シャツがはだけて鎖骨が見えた姿は明るいところではあまり見た事がなくて。

怖気付くほどの色気に気圧されて私は顔をおおった。

「もうむり。ぎぶ」

「なにがだ」

「やっぱりいいです。つけなくて」

熱くなった頬を冷まそうと手を顔に当てたのに、その手までもが熱い。

自分から言っておいてやっぱりやめますなんて、恥ずかしすぎる。それも小芭内がかっこよすぎて近づけないなんて、なんてヘタレなんだろう。

「そうか。ならこうしよう」

「え、なに、なになにちょっと、」

腕を引っ張られて、私の上半身は彼の方に傾く。色違いの目の奥がぎらついた気がした。

「抱かせろ」

「は、」

いやまて、ならこうしよう、と繋がらないだろ！！
なんで利害一致みたいになってんだよ！？

「端的に言うな！小芭内のくせに！」

「枕の伽をしてはいただけないだろうか」

「丁寧に言えって言ってるんじゃない！」

本当、付き合ってから瞬く間に強引な男になったなと感心するレベル。
別にそれが嫌なわけではないし、むしろ嬉しい時の方が多い。でも、それとこれとは話が違う。

伊黒小芭内とか言う男は段違いにその枕の伽とやらが上手いのだ。段違いと言っても私は他の人を経験したことがないからわからないけれど、でも多分あんまりこんな人いないと思う。多分。

いつの間にか意識飛ぶし気づいたら土曜の朝になってる。毎週のように。

けれども、

「……だめならこれで我慢する」

そう言ってぎゅうっと抱きついて、私の首あたりをすんすんと嗅いでくるものだから。

可愛い。可愛いにも程がある。こうしていつも、私は彼に絆されてしまうのだった。

「だめじゃ、ないから」

とりあえず私にもたれかかっている上半身を起こして、目を合わせた。

「いいのか？」

なんて聞いておきながらこの男、もう勝ちを確証しているからタチが悪い。既にそのオッドアイは私を喰らおうとギラギラしているし、右手は首元に伸びていた。

「う、手加減してください」

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