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待ち合わせして会うの、久しぶりだな。
いつもは私が押しかけるか小芭内が電話してきて唐突に来るかの2択。どちらかと言えば事前に電話かけてくる小芭内の方が常識人だな。
そういえば、私たちが2人で会うのはいつもどちらかの家、しかも夜ばかりなのに、逆に今まで体の関係が無かったのがすごいんだよな。むしろ自分と小芭内を褒めてあげたい(?)
そしてなぜか約束の時間より30分も前についてしまった私は、スマホの内カメで前髪を直していた。
ぼさぼさの髪はいつも見られているはずなのに、何故か今日だけはどうしても可愛い自分でいたくて。
髪の束を摘んでは伸ばしを繰り返して、やっといい感じの出来になった。
「よし」
「終わったか」
「ぎゃーーっ!!小芭内!」
いやいつからいたの!?忍者!?
私が叫んだのを見て、小芭内はいつものように深いため息をついた。会って早々呆れられてるじゃん私。
あと、服装がイケメンすぎるんだわ。
なんだそのセンスは爆イケか。
「……お前は本当に、」
「わかってます!うるさいんでしょ!」
「いや、ちがう」
はぁ、とため息をつきながら、小芭内はナチュラルに私の手を取った。
「せっかく褒めてやろうと思ったのに。まぁいい、早く行くぞ」
「えっ、えっ、」
待って色々突っ込ませろ。
褒めようとしたってなに?
あとなんか地味に手繋いでるしさ。
私があわあわとしていると、小芭内は不思議そうにこちらを見たあとで斜め下に目線をやった。
「ああ、これか?」
そう言って繋いだ手をひょいと上にあげて私に見せてくる。
そうです、それです。
「そうだな、Aはこっちの方がよかったか」
「うぇっ、」
小芭内はふっと笑ってからその手を一旦離して組み替えた。
まって、まってまってまって。
これって恋人つなぎってやつでは!?
その前になんだこっちの方がよかったかって!!
「どうした、顔が赤いぞ」
「小芭内のせいだから!?」
すると、彼は先程よりももっと目を細めて言った。
「っは、可愛いな」
むり、しぬ。
今日は死ぬ日だ。
心に5億ダメージをくらって私はだまりこくった。
なんで、意味わかんない。
散々キスもしたし、それ以上もしたはずなのに。
手を繋ぐだけで、「可愛い」の一言だけでなんでこんなに。
ああもう、私って呆れるくらいこの人の事が____。
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和加 - 声出して笑ってしまうんですが。面白すぎです笑 (2021年2月3日 6時) (レス) id: 263e001d98 (このIDを非表示/違反報告)
いちごミルク(プロフ) - 完結お疲れ様です。面白かったです!! (2020年12月25日 15時) (レス) id: 00ab994726 (このIDを非表示/違反報告)
モブちゃん - キャァァァァァァ!キュンキュンするわ!伊黒さん、お幸せに! (2020年12月25日 7時) (レス) id: 2f84cbf165 (このIDを非表示/違反報告)
みゆきだいふく(プロフ) - 深紅さん» すみません爆笑しましたwwwwwww (2020年12月23日 21時) (レス) id: a48323ed49 (このIDを非表示/違反報告)
深紅(プロフ) - 私の中でLove so sweetが流れた (2020年12月23日 20時) (レス) id: 1de38023e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みゆきだいふく | 作成日時:2020年12月2日 1時