26 ページ26
・
あれは、たしか19の時だった。
クリスマスシーズンに入った街は赤や緑の光やトナ○○○のオブジェなんかで溢れていて、さすがの俺にもほんのりと寂しさを催した。
今年は、誘えるだろうか。
彼氏でもないのに、なんて思いながらも色とりどりの店舗を物色していく。
そんな時、アクリルの向こうにキラキラと輝くネックレスを見つけた。黄色……シトリンか。
Aはたしか黄色が好きだったな。
それも、善逸の色だからとかなんだとか。
まったくもって○○○○すぎる。嫉妬するくらいにな。
重いだろうか。
いや、きっとAなら手放しに喜んでくれるだろう。
『ヤダ小芭内こんなことできたの!?やるぅ〜』なんて茶化してくるかもしれない。
もしそうなっても、今度こそ想いを_____。
携帯が鳴った。
それは、今1番会いたい相手からの着信だった。
「もしもーし、小芭内?」
「どうした、随分ご機嫌だな」
うへへ、と笑うその声に、少し嫌な予感がした。
そして、それは不幸にも的中してしまうことになる。
「ふふん、いいことあったの。小芭内に1番に報告したくて」
俺に、1番に。
そんな言葉に少しだけ浮かれたのも、本当に一瞬だった。
「彼氏出来ちゃった!」
なんと返したかは覚えてない。
ただただ、頭が真っ白だった。
クリスマスどこ行こうだの、プレゼントどうしようだの、そんな話に適当な相槌を打って聞き流したような気がする。
ああ、誘わなくて本当に良かった。
「応援してくれる?」
「お前の応援なんぞしている暇があったらゲームでもした方が100倍有意義だ」
「もーっ、つれないなぁ」
どうしてこうも俺は、いつもいつも、
Aに暴言ばかり吐いてしまうんだ。
捨てたい、こんな粘着質な想い。
「お兄さんかっこいいね、おひとりさん?」
「ああ、ひとりだ」
気持ちが悪い。
A以外の女は全員。
それなのに。
「じゃあ私と遊ぼうよ、ちょうど暇してたの」
やめろ、その猫なで声を今すぐ。
「そうだな。俺も暇だ」
暇なんかじゃない。
Aのことで、感情を追いつかせるので忙殺されそうだ。
「じゃ、行こっか」
腕を組まれた。
向かうのは、案の定ホテル街。
もうどうでもいい。
全部、全部どうでもよかった。
無性に寂しい。
誰かの体温が無いと、死んでしまいそうなほどに。
馬鹿みたいだ。
いや、本当に馬鹿なんだ、俺は。
・
697人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
和加 - 声出して笑ってしまうんですが。面白すぎです笑 (2021年2月3日 6時) (レス) id: 263e001d98 (このIDを非表示/違反報告)
いちごミルク(プロフ) - 完結お疲れ様です。面白かったです!! (2020年12月25日 15時) (レス) id: 00ab994726 (このIDを非表示/違反報告)
モブちゃん - キャァァァァァァ!キュンキュンするわ!伊黒さん、お幸せに! (2020年12月25日 7時) (レス) id: 2f84cbf165 (このIDを非表示/違反報告)
みゆきだいふく(プロフ) - 深紅さん» すみません爆笑しましたwwwwwww (2020年12月23日 21時) (レス) id: a48323ed49 (このIDを非表示/違反報告)
深紅(プロフ) - 私の中でLove so sweetが流れた (2020年12月23日 20時) (レス) id: 1de38023e0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みゆきだいふく | 作成日時:2020年12月2日 1時