私と〇〇できないくせに！【伊黒小芭内】 (ページ24)

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誰かさんの言葉を借りるなら、“嘘すぎじゃん”状態。

こんなことがあってもいいのだろうか。

顔に熱が集まって、今にも爆発しそうなのをなんとか抑えながら耳元で携帯を握る。

_______私ね、あの日からずっと毎日、四六時中小芭内のこと考えちゃうの。朝ごはんの時も、お昼食べてる時もおやつの時も、あと義勇とご飯行く時も。

ああ、それは俺もだ。

俺の日常の全てはAを中心に回っていると言っても過言ではない。

あの日からなんかじゃない。
俺はそのずっと前から。

_______それにね、小芭内が女子生徒に囲まれてるのとか、見慣れてるはずなのにさ。やだなぁって思っちゃって、自分のことも嫌になるの。

俺だって、いやだ。

宇髄と楽しそうに談笑するのも、竈門の頭を撫でるのも、冨岡に褒められて頬を緩ませるのも。

本当は見たくない。なんなら腸が煮えくり返りそうな気持ちにすらなる。

そんな自分が心底情けない。

______ ずっと私の事だけ見てくれたらいいのに、他の誰にも触れてほしくないって、ここまで思うの、はじめてなの。

既にAのことしか見えてないよ。
困るくらいにな。

______私ってさ、欲張りだよね。きらい。

ああ、どうか俺のせいで自分を嫌いだなんて言わないでくれ。

俺の大好きな君を貶すやつなんて許せない。例えそれが君自身であっても。

______ 大丈夫だよ、姉ちゃん。恋するってそういうものだから。

恋？
本当に恋なのかそれは。

だって俺は______。

何度か善逸に名前を呼ばれてから、やっとどこかに飛ばされていた意識が地上に戻ってきた。
ハッとする俺に対し、善逸は呆れたように言った。

「そういうことなんで、もう姉ちゃんのこと泣かせないでくださいね。伊黒さん。」

電話越しでもわかる、少し怒りを含んだような声だった。

ああ、そうか。俺はまたAを泣かせたのか。

「すまない」

「もー、毎度毎度お騒がせだなぁ。いい加減早いとこ告白してくださいよまったく」

「それは……」

俺だってできることならそうしたい。でも。

口ごもる俺を見透かしたかのように、善逸は言った。

「わかってます。理由があるんでしょ？俺で良かったら聞きますよ、話」

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