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「ぜんいつうう、もうだめわたし。死んじゃう」
「はいはい、今度はどうしたのさ」
「おばないのきすがぁ、うますぎてぇ、」
「どういう理由で泣いてるの?」
つか、またキスしたのかよ。
伊黒さんって勇気のベクトル絶対に間違ってるよな。
「とりあえずよしよしして」
「仕方ないなぁもう。っていうか、その甘え上手俺じゃなくて伊黒さんに使いなよ」
「むりそんなの。はずかしい。しぬ」
「ハイハイかわいいかわいい」
お望み通り、いつものように髪を撫でながら隣に座る。
こんな可愛い顔して年がら年中恋愛に困ってんのが信じらんねぇよな。
1回伊黒さんに撫でてって言ってみ?
即ノックアウトよ。
「ねぇねぇ善逸、聞いてくれる?」
「挿入の感想とかじゃなければ」
顔を上げて上目遣いでむぅ、と睨んでくる。
だからその顔を伊黒さんに(略)
ぽつりぽつりと話し始めたその頬は少し赤く染っていて、心臓の音もさっきより速かった。
「私ね、あの日からずっと毎日、四六時中小芭内のこと考えちゃうの。朝ごはんの時も、お昼食べてる時もおやつの時も、あと義勇とご飯行く時も」
「なんでずっと食べてんの?」
食欲ありあまりすぎだろ。
「それにね、小芭内が女子生徒に囲まれてるのとか、見慣れてるはずなのにさ。やだなぁって思っちゃって、自分のことも嫌になるの」
姉ちゃんの嫉妬は、伊黒さんのぶくぶく湧き上がる感じと違って、泣いちゃいそうなくらい青くて控えめな音なんだよな。
「ずっと私の事だけ見てくれたらいいのに、他の誰にも触れてほしくないって、ここまで思うの、はじめてなの。」
ぎゅう、と心臓の奥が締まる音。
恋の音がする。
「私ってさ、欲張りだよね。きらい」
後半の方はほぼ涙声になっていた。
俺じゃなかったら聞き取れてないよまったく。
「大丈夫だよ、姉ちゃん。恋するってそういうものだから」
安心してよ、姉ちゃんは世界一可愛いんだから。
そんなこと絶対に言ってなんかやらない。
でも、頭だけは毎日撫でてあげるね。
「もしもし、聞いてました?
おーい、返事してください?
あ、よかった聞こえてた。
そういうことなんで、もう姉ちゃんのこと泣かせないでくださいね。
伊黒さん。」
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和加 - 声出して笑ってしまうんですが。面白すぎです笑 (2021年2月3日 6時) (レス) id: 263e001d98 (このIDを非表示/違反報告)
いちごミルク(プロフ) - 完結お疲れ様です。面白かったです!! (2020年12月25日 15時) (レス) id: 00ab994726 (このIDを非表示/違反報告)
モブちゃん - キャァァァァァァ!キュンキュンするわ!伊黒さん、お幸せに! (2020年12月25日 7時) (レス) id: 2f84cbf165 (このIDを非表示/違反報告)
みゆきだいふく(プロフ) - 深紅さん» すみません爆笑しましたwwwwwww (2020年12月23日 21時) (レス) id: a48323ed49 (このIDを非表示/違反報告)
深紅(プロフ) - 私の中でLove so sweetが流れた (2020年12月23日 20時) (レス) id: 1de38023e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みゆきだいふく | 作成日時:2020年12月2日 1時