私と〇〇できないくせに！【伊黒小芭内】

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手で口元を覆われて、義勇はその上から私に顔を近づけて自分の手の甲にキスした。

えっえっ……なにしてるの？

接吻かますならまだわからんでもないけど、いやそれでもわからんけど、



_____手のひら越しにキスとは？



目ん玉しか動かないから精一杯の抵抗として唖然としている2人に助けての視線を送る。


っていうか、これじゃ、小芭内と不死川先生からは私たちが本当にキスしてるように見えるんじゃ……。



やっとの事で口元が外気に触れた。



「っ…はぁ、ぎ、ぎゆ」



なんでそんなことしたの、と聞く前に私の声は遮られた。

小芭内が人を殺しそうな形相のままこちらにつかつか歩いてきて義勇の肩を掴む。


やばい、めちゃくちゃ怒ってる。
髪の毛逆立ってるよ。



「貴様、今何をした」




どす黒い声で、わなわなと怒りを抑えながら義勇を睨みつける。

超怖い、ちびりそう。




「お前が見たままだが」




見たままじゃねーーーよ！！！！

これじゃ小芭内の中で私と義勇の怪しい関係が構築されちゃうだろ！！

まずい、誤解を解かないと。



「あの、ちがう、おばない」


学校では伊黒先生って呼ぶっていう約束もすっかり忘れて名前を呼んだけれど、それはピシャリと跳ね返された。


「お前らはここがどこだか自覚がないのか。生徒が見ていたらどうするつもりだ。外でやれ、迷惑極まりない」

「いやだからいまのは……」

「そして冨岡、次にこんなことがあったら覚えておけ、お前の水筒の中に硫酸を混ぜる」

「それは予告してもいいのか」


たしかに。予告したら意味ないじゃん。
小芭内にして初歩的なミスだな、とか思っていると、小芭内は舌打ちをして私の腕をぐいっと引いた。



「A、ちょっと来い」

「えっちょ、引っ張らないでよ！服伸びちゃうじゃん！」









「ちょっとやり過ぎたんじゃねェか？」

「問題ない。ムフフ」




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