【東京喰種】モノクロ狐 part５【男主】

#198【何か】 ページ7

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真希を好きになったのは死んでからだった。ほら、大切なモノは無くしてから気付くだろ、あれと一緒だよ。


ポッカリと胸に空いた穴を埋めるように多くの同士を喰べていった。しかし、埋まったのは一瞬ですぐに穴は開く。




コリに飯をあげたのも、コブを殺さなかったのも、コサメを生かしたのも、コウにつきまとったのも



全部、気分だった。





柳下(やぎし)に嫌がらせをするのも、平子にお喋りするのも、アイを殺したのも、有馬から逃げるのも



全部、気分だ。






殺したのも、喰べたのも、お喋りしたのも、生きたのも




ぜんぶ、きぶんだった。







ねむい、ねているはずなのにねむい。




おれはなにをもっているのだろうか。





てばなせばなにがおこるのだろうか。









A



俺を呼ぶ声がする。







ラクさん



ゴツゴツとしたコブの手か。





ラクさま



筋張ったコサメの手か。





ラクちゃん



小さなコウの手か。









俺の世界は真っ黒で、握っている“何か”は真っ白で、俺の身体は灰色で。



やっぱり色は無くって、寂しくて淋しくて。



どうにかなりそうなのにならなくて。



気が狂いそうなのに狂えなくって。



死にそうなのに死ねなくって。







眩し過ぎる“何か”を手放すと不思議と心が軽くなった。

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