#197【加勢】 ページ6
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正直もう立っているだけで限界だ。両腕から漏れる血に、俺の上半身は肩から腹までぱっくりで血が大量に
どのくらい血が出ると死ぬんだっけか。
腕が無いから支える事も出来ない。木の枝に乗っているだけでも辛い。
《ズルッ》
「あー・・・」
血で濡れた枝は滑り、俺の身体は背中から落ちた。高くないからすぐに俺は地面に落ちるかと思ったが視界から白いものが見えた。
「コリ・・・」
抱きしめたい腕は無く、ただ見るだけ。
「加勢するッス」
いつかあげた狐の面を身に着け、コブは俺の身体を支える。一度ならず二度も助けられるとは俺は随分と体たらくになった。
俺を支える腕とは別に何かを持っている腕は引き金を引き、近くに居た“白鳩”に当たると煙が噴射した。大量出血しているのに意識を失わない自分を忌々しく思い、疑問を口に出す。
「・・・それは、「アゲイン」か?」
「そうッス、化け狐が改造屋連れてきたから何かと思ったらそのまんま走り出したんッスよ」
首を支えるのも限界でぐらりと全身の力を抜くと首は重力に逆らわず落ちる。反転した世界にはコサメとコウも居る、しかも普段引きこもりの改造屋もわがままボディにムチを打ち頑張っている。
戦闘から離脱し、“白鳩”に見つからない場所へと身を隠しコブは俺の上半身を自らの服で止血する。止血と言ってもただ上半身を包むだけで、これで血が止まるのかと疑問に思うが声に出すのは疲れるので止めた。
「いいかコブ、二度は言わねェ
一度で聞き取り、理解しろ」
わざわざ狐の面を頭に乗せ、俺を見つめても何も変わらないのにその目は一言も聞き漏らさないと決意している目だ。
「「改造屋」を殺させるな、俺を囮にしてでも護れ
女が持っているクインケは壊すなよ他のは使っても壊してもいい、好きにしろ
コリが抜け道を知ってるから“白鳩”がついてきても追い掛けろ」
瞼が落ちる。限界突破はもう終いだ。
「・・・最後、に
お、れの赫包・・・喰うなり壊すなり・・・し、ろ
・・・よ」
完全に意識が落ちる前にコブの声を聞けず、眠りの世界へと引きずり込まれる。
これが最後の会話でも良いかな。死ぬ前にお前の姿が見れたんだ、悔いはねェ。
────おやすみ、A
あァ、おやすみ。真希
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水無月(プロフ) - 乾さん» 今更になってしまいますがありがとうございます!一時期題名が落ち着かない時がありましたが最後まで読んでいただきありがとうございました!! (2018年8月10日 23時) (レス) id: 07c7ef19ca (このIDを非表示/違反報告)
乾 - 完結おめでとうございます!!この作品は、名前が何度か変わっていましたがそんな連載当時から好きでした。素敵な作品をありがとうございました (2018年7月2日 18時) (レス) id: de2fb18392 (このIDを非表示/違反報告)
水無月(プロフ) - 瑠伊さん» ありがとうございます!素敵と言ってもらえてとても嬉しいです!! (2018年4月24日 19時) (レス) id: 07c7ef19ca (このIDを非表示/違反報告)
水無月(プロフ) - 慶さん» ありがとうございます!面白いと感じてもらえてとても嬉しいです!! (2018年4月24日 19時) (レス) id: 07c7ef19ca (このIDを非表示/違反報告)
水無月(プロフ) - 宮野 ミヤさん» ありがとうございます!気に入ってもらえとても嬉しいです!! (2018年4月24日 19時) (レス) id: 07c7ef19ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水無月 | 作成日時:2017年12月27日 18時