#224〈粒子〉 ページ34
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「貴方に守りたいものはなかったのですか」
「あるよ」
「それは・・・」
「自分の身だよ」
まだ表情は戻らねーな。だが、目は驚いている感じがする。それか心が俺の回答を受け入れづらいのか。
「だから俺は“身代わり”を探した」
己の身が可愛いのは皆一緒だろ?それは“喰種”もヒトも一緒だ。
「彼も“身代わり”ですか」
カネキくんの目線の先にはコサメ。そうかコサメが一方的に知っているだけか。
「“身代わり”よりワンランク上の“盾”さ」
「“盾”?」
「肉壁ならゴロゴロ居る
その場に居る奴を“白鳩”に差し出せば良いだけだ
だが強者にそれは通じねェ、だったらしぶとい奴が必要だ
それが“盾”さ
楽しければ何でもいいが、生温い関係なんてダラダラ続けるつもりは無い
利用出来る奴を大切にする気も、気に入った奴を助ける気も俺には無い
それが影乃楽さ」
カネキくんの身体が光出す、直感的に分かる。現実に戻るんだな。って。
「じゃあな、カネキくん
もうここには来るなよ」
態とゆっくり手を離し、名残惜しそうに見つめる。何を思ったのか悲しそうな顔をするから笑いそうになる。
「貴方はずるい人だ」
「狐はずる賢いからな」
どうせ、ここでの事は忘れてしまう。ここの世界は夢に似ている。
なら本音を言ってもいい気がする。
「俺はな、ヒトになりたかった
ガッコウに通って、ジュギョウを受けたり
ハシ使ってメシ食ったり
ニュウガクシキやソツギョウシキをしてみたかった」
“喰種”になったカネキくんに言っても意味が無い事は知っている。それでも“元”ヒトであった彼に言いたくなった。
「生きている限り絶望は必ずある
しかしそれと同様希望もある
俺みたいに楽しく生きれば人生楽になるかもしれないが、君の性格上無理だ」
足元から光は散乱し後は首から上しか残っていない。
「少なくとも楽しませてくれた
お礼に俺の気が向いたらここの世界からちょっかい出してやるよ」
それが助けになるかは捉え方しだいだ。
僅かに目を見開くカネキくんは声を発しようとするが口がないので不可能だ。光の粒子は天に向かい消えていった。
「戻りましたかね」
「さあな、これでこの世に戻れなかったらカネキくんの気持ちが足りなかっただけだ」
天も地も赤く染まり、槍が降ってくる。
「ラクさま・・・!」
「楽しもうぜ、この世界を」
全て楽しむ、それが「楽」だ。
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水無月(プロフ) - 乾さん» 今更になってしまいますがありがとうございます!一時期題名が落ち着かない時がありましたが最後まで読んでいただきありがとうございました!! (2018年8月10日 23時) (レス) id: 07c7ef19ca (このIDを非表示/違反報告)
乾 - 完結おめでとうございます!!この作品は、名前が何度か変わっていましたがそんな連載当時から好きでした。素敵な作品をありがとうございました (2018年7月2日 18時) (レス) id: de2fb18392 (このIDを非表示/違反報告)
水無月(プロフ) - 瑠伊さん» ありがとうございます!素敵と言ってもらえてとても嬉しいです!! (2018年4月24日 19時) (レス) id: 07c7ef19ca (このIDを非表示/違反報告)
水無月(プロフ) - 慶さん» ありがとうございます!面白いと感じてもらえてとても嬉しいです!! (2018年4月24日 19時) (レス) id: 07c7ef19ca (このIDを非表示/違反報告)
水無月(プロフ) - 宮野 ミヤさん» ありがとうございます!気に入ってもらえとても嬉しいです!! (2018年4月24日 19時) (レス) id: 07c7ef19ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水無月 | 作成日時:2017年12月27日 18時