#219〈人魂〉 ページ29
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カネキくんの手を引いて歩いているとふよふよと青い色の人魂が前方から来た。特に気にせず歩いていると横を通り過ぎるはずが俺の周りを回り通り過ぎない。
今さっきコサメが死ぬ瞬間が
「お前コサメか?」
言った瞬間に人魂は人の形となる。
「Aさ・・・いえ、ラクさま」
カネキくんがいるからか、名前を言い直すが後は「ま」を言えばいいのに。
「ほっとけ、どうせ元に戻りゃ覚えちゃいねェよ」
再び歩くが、すぐに後ろを振り向く。
「どうした?ついて来いよ」
「よろしいのですか?」
「“
そしたらお前を俺の“盾”から解放してやるよ」
今度こそ歩き出す。後ろからコサメがついて来る気配を感じながら、口を開く。
「なあ、コサメ」
「はい、ラクさま」
「俺が死んでどのくらい経った?」
「一週間は経っておりません」
「そうか」と答え、今後のプランを考える。
正直カネキくんをどうすればいいのかなんて考えてもいない。ただ気まぐれに彼の手を引いてしまったのがいけなかった。
何度も手を離した。何度も彼は泣きだす。
有るか無いかも分からない俺の良心が「彼を置いていくな」と訴えかけたので今の状態が続いている。
死んだコサメが前方から来たのなら道はあっているはず。
「君は還って何をしたいの?」
「ぼくは・・・かえらなきゃ
かえって・・・あんていくの皆をヒナミちゃんたちを助けなきゃ、ヒデにも────」
「君はやる事がいっぱいだねェ」
本当ならどこにでも還せるのに俺はなぜそうしないのか。
「ラクさまここの世界は不思議な空間ですね」
「慣れると案外楽しいもんだぜ」
びきびきと亀裂が入り、砕けた空間からボトボトと何かが落下する。落下した何かは俺たちのように水の上に落ちる事なく、そのまま下へ下へと落ち続ける。
やりたい事がいっぱいのカネキくんの声をBGMに、新たな仲間を引き連れて俺は真っ直ぐ歩き続ける。
もしかしたら愚弟に会えるかもしれない。
もしかしたら両親に会えるかもしれない。
もしかしたら真希に会えるかもしれない。
その時俺はどんな顔をすればいいんだろうか。
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水無月(プロフ) - 乾さん» 今更になってしまいますがありがとうございます!一時期題名が落ち着かない時がありましたが最後まで読んでいただきありがとうございました!! (2018年8月10日 23時) (レス) id: 07c7ef19ca (このIDを非表示/違反報告)
乾 - 完結おめでとうございます!!この作品は、名前が何度か変わっていましたがそんな連載当時から好きでした。素敵な作品をありがとうございました (2018年7月2日 18時) (レス) id: de2fb18392 (このIDを非表示/違反報告)
水無月(プロフ) - 瑠伊さん» ありがとうございます!素敵と言ってもらえてとても嬉しいです!! (2018年4月24日 19時) (レス) id: 07c7ef19ca (このIDを非表示/違反報告)
水無月(プロフ) - 慶さん» ありがとうございます!面白いと感じてもらえてとても嬉しいです!! (2018年4月24日 19時) (レス) id: 07c7ef19ca (このIDを非表示/違反報告)
水無月(プロフ) - 宮野 ミヤさん» ありがとうございます!気に入ってもらえとても嬉しいです!! (2018年4月24日 19時) (レス) id: 07c7ef19ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水無月 | 作成日時:2017年12月27日 18時