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無我夢中で走り続け、何とか電車に乗り込んだ。
ギリギリセーフ、
空いている席に腰を下ろして背もたれに寄りかかる。
すると、タイミングを見計らったようにスマホが震えた。
『、、もしもし、』
〈 遅い、 〉
『ごめん、友達と話し込んじゃって、』
〈 ふーん、今どこに居んの？ 〉
『電車の中だよ、あと20分位で家に帰れると思う。』
〈 わかった、なんかあったら連絡して、車出す。〉
『うん、ありがとう。じゃあ切るね。』
電話の相手はお兄ちゃん。
お兄ちゃんは優しくて、努力家で、嫉妬しちゃうくらい美人でカッコイイ、そんな人だ。
そんなお兄ちゃんの難点を一つあげるとしたら、束縛癖が激しい事。
お兄ちゃんは私の下校時間をなぜか知っていて、
連絡無しに遊びに行くと、決まって今日のようなことが起こる。
それでも、お兄ちゃんにとって私は "愛すべき人" であり、
私にとってもお兄ちゃんは "愛する人" だから、
別に嫌だとか、気持ち悪いとか思った事はない。
こんなことを思う私はおかしいのだろうか？
私が住んでいるマンションは、学校から少し遠いが、駅も近い分不便は無い。
お兄ちゃんが悩みに悩んで決めてくれた場所だ。
元々両親が仕事の都合で家にいることが少ない為、今はお兄ちゃんと二人で暮らしている。
最上階、とまではいかないが、かなりいいお値段はする事は確かだと思う。
駅を少し歩いて見えてきたマンション、駆け足気味でエレベーターに乗り込んだ。
17階のボタンを押すと、エレベーターは動き始めた。
エレベーター内には私以外に、高そうなスーツを着た大人が数人乗っている。
多分、ここに住んでいる学生は私だけだと思う。
ﾁｰﾝ、
静かな音が目的の階に着いた事を伝えた。
エレベーターを下りて、廊下を真っ直ぐに進む。
104号室
部屋番号はお兄ちゃんの誕生日。
リュックから鍵を取り出して差し込む。
お兄ちゃん、怒ってるだろうなぁ 。
『、、、ふぅ。』
一息ついてから鍵を回して、引き抜くと同時に扉は開いて、私は腕を引かれた。
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ozu__(プロフ) - 素敵なコメントをありがとうございます。 (2022年3月2日 13時) (
レス) id: bfe25aa6c9 (このIDを非表示/違反報告)
びぃだま - 更新してくださって感動です！！！なんだか文学的と言うか、伏線が散りばめられていて面白いなと思ってたので…これからもお時間のあるときに是非更新してください！ (2022年3月2日 1時) (レス) id: 4179bc5d94 (このIDを非表示/違反報告)
理緒(プロフ) - 好きな作品です！更新楽しみにしていますね！ (2020年10月14日 0時) (レス) id: 6918a06ad7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ozu__ | 作成日時：2020年4月23日 13時
